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222 愛 ページ47

「語弊のある言い方はよして、彼女は脅されていたんだから。
それに、アレンが私達の事を調べるときに、墓の在処を教えてくれたりって、積極的に協力したって前にも話したでしょう?」
「そうだけど、僕は君を殺そうとした奴をそう簡単には許さないな。」
「全く頑固なんだから。」


軽くなだめたAは、薄い便箋から更に薄い紙を取り出し、細々とした字に目を通した。


【Aへ。
貴女は許しているって夫から聞いてるけど、私は自分が許せないので、今回も手紙だけでごめんなさい。

私も今年ようやく赤ちゃんが生まれそうなの。
夫は心配するなって言うけど、毎日不安だわ。

ねえA、もう一つ命を抱えてるってどういう気分?
私は不安よ、時々もしかしたら生まれて来ないんじゃないかって不安になるの。

でも貴女も同じだと思ったら頑張れるわ。

…その一緒に子供を送り迎えしたいの、その時まで待ってて。】

「(…分かったわ。)」

Aはしょうがないと言いたげに手紙をたたみ、チロチロと燃える炎を見つめ続けた。



トンッとお腹の中で、優しく響いた音にAは微睡み、そっと意識を手放した。




ーーー



「うあっ、はあ、ぁっ、ああああっ」

ハアハア、と例えようもない呻き声と叫び声に聞いてるこっちが参りそうなドラコは、同じように青ざめた顔で寝台の方をしっかりと見つめている息子を抱き寄せた。




「母上は、無事ですか?
大丈夫なんですか、」

近くを通りかかった助産婦にスコーピウスは、不安そうにまゆを潜める。

だが、助産師はええと適当に答えるだけで、焦ったような顔つきでカーテンの向こう側に消えた。

「ねえ父上、母上は優秀な慰者なんでしょう?
なんで?
もう七時間以上経ってる、
母上は一体、

父上、」

それ以上叫ぼうとした時、スッとドラコはスコーピウスの口を止めた。


歯がゆそうに唇と歪める父親に、スコーピウスはようやく黙った。

最初はドキドキしていた。
新しい家族は増えるのだから、ドキドキするのは当たり前だ、
けれど一時間経ち、二時間経ち、三時間経って幼いスコーピウスは段々不安になった。

扉の向こうが気になって苛々していると、汗でびっしょりと濡れた男がやってきて、カーテンのそばまで案内し、二人を席に座らせた。

カーテンの向こう側から聞こえてくる、身を裂くような叫び声と荒い息に、スコーピウスは自分の方が泣きたくなった。

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ゆう - こんなに引き込まれたのは初めてです。内容も構成も素晴らしい小説でした。主人公とドラコのむず痒いようで愛おしい関係に心が温まりました。本当に面白かったです。あなたの物語を読めたことに感激しています。素敵な話をありがとうございました。 (2020年11月20日 23時) (レス) id: ba6b4fdba7 (このIDを非表示/違反報告)
- とても読み応えのある作品で、完結まで休みなしで読み終えてしまいました。物語が進んでいく中で、主人公とドラコの関係性が少しずつ変わり、謎も解明されていき、終始どきどきがとまりませんでした。私の拙い言葉では言い表せないくらい、本当にすてきな物語でした。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: f5af52d735 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ナナナさん» 深夜ですか?!ありがとうございます!そこまで言ってもらえるととても嬉しいです(^^)本当にありがとうございます。 (2018年12月5日 7時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ - 読み始めたら止まらんくて気付いたら夜中の3時まわってた!とても引き込まれました〜とても面白かったです (2018年12月5日 3時) (レス) id: f9de44e996 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 水素ちゃんさん» こちらこそありがとうございます。始めて書いたハリポタ作品なだけあって、至らぬ点があったにではないかと何度も読み返したあの頃が懐かしいです^ - ^そんな経緯もあってか、真摯なご感想に感激しました。こちらこそ貴方様の様に素敵な読者様に出会えて光栄です。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサノ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年9月21日 23時

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