218 愛 ページ43
「貴方の方こそ、今度のお子さんにクラシスを名付けないって本当?」
「ん?ああ、アストリアも心配していたけど、今時古いんだよな。
然ういう考えが。」
「相変わらずの言い草ね。
サラザール・スリザリンの後継者が居なくなるじゃないかって、巷では凄い噂になってるわよ。」
ふふっとからかうように笑うAに、アレンは渋い顔を擦る。
「いいんだよ。
そっちこそクラシスが後継者候補の勲章だって知られて、騒がれなかったのか?」
「馬鹿ね、だからゴーントを名乗っているんじゃないの。
それにこの名前は、これは一種の証みたいな者だから。」
「でも子供には付けないんだろ?」
「当然。」
ふふんと、どや顔で言い切ってみせるAに、アレンは苦笑し、Aのお腹にかがみ込み、愛おしそうにAのお腹の子供を撫でた。
「やあ坊や。
お母さんが、慰者だと落ち着くだろう。
しかもこのお母さんはただの慰者じゃない。
なんとあのN.E.W.Tを試験を難なくこなし、オールOを取ったエリートでしかも、俺たち闇祓い専属の超優秀魔女さんだ。
だから実践経験も知識も豊富、このお母さんのお腹の中なら間違いなく安産だ。」
有る事無い事、ベラベラと余計な事を喋りまくる従兄弟にAは呆れた。
「何も分かってないくせに適当な事言わないで。
それに、専属慰者と言っても名ばかりで、あちこちで正規員も同然で動かしたくせに。
あっほら、お腹を蹴ってるわ。
きっと貴方に怒ってるのよ。」
「そんなわけあるか。」
とお互いに言い合っていると、不意に遠方の方から歩いて来た神父がわざわざA達の方を向いて十字を切った。
それを見つめたAは笑い、アレンはしまったと言う顔をする。
「参ったな。
僕が父親だって思われてるのかな?
義弟には黙っておこう。」
「私もアストリアに怒られるわ。」
アレンはあの父親とは違い、母親に似た容姿なのか七年経っても変わらない二枚目の容姿で、A同様老けている様子が全然見えないのだ。
そんな美男美女でしかも妊婦のお腹を見れば、誰だって勘違いするだろう。
「じゃあ俺はここで。」
「また仕事?」
「いや今日は結婚記念日だからな、早く帰ってアストリアに会ってくる。」
「彼女によろしくね、」
「ああ、じゃあAも。」
ひゅっと姿現しをしたアレンを見送ったAは、もう一度墓地と湖面を見つめてから、アレン同様姿現しをして消えた。
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ゆう - こんなに引き込まれたのは初めてです。内容も構成も素晴らしい小説でした。主人公とドラコのむず痒いようで愛おしい関係に心が温まりました。本当に面白かったです。あなたの物語を読めたことに感激しています。素敵な話をありがとうございました。 (2020年11月20日 23時) (レス) id: ba6b4fdba7 (このIDを非表示/違反報告)
の - とても読み応えのある作品で、完結まで休みなしで読み終えてしまいました。物語が進んでいく中で、主人公とドラコの関係性が少しずつ変わり、謎も解明されていき、終始どきどきがとまりませんでした。私の拙い言葉では言い表せないくらい、本当にすてきな物語でした。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: f5af52d735 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ナナナさん» 深夜ですか?!ありがとうございます!そこまで言ってもらえるととても嬉しいです(^^)本当にありがとうございます。 (2018年12月5日 7時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ - 読み始めたら止まらんくて気付いたら夜中の3時まわってた!とても引き込まれました〜とても面白かったです (2018年12月5日 3時) (レス) id: f9de44e996 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 水素ちゃんさん» こちらこそありがとうございます。始めて書いたハリポタ作品なだけあって、至らぬ点があったにではないかと何度も読み返したあの頃が懐かしいです^ - ^そんな経緯もあってか、真摯なご感想に感激しました。こちらこそ貴方様の様に素敵な読者様に出会えて光栄です。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アサノ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月21日 23時