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180 秘宝 ページ5

一方Aがドラコによって攫われていた頃、アレンはリトル・ハングルトンまで訪れていた。

辺り一面鬱蒼とした雰囲気で、とてもじゃないが一分だって留まりたくない様な陰湿な空気が漂い、アレンは顔をしかめた。




村の一角に当たる墓地まで歩いて行く彼は、脳内で自分達の家系図を思い出していた。


「(A達、マロニエはマレリーヌの頃から世間から身を引き、逆に俺たち一族は親父の一つ上から名が挙がった。

親父がマロニエの名をかたって、好き勝手やっていたのは分かったが、

ニコライとマロニエの出生地がここっていうのが、

どうも腑に落ちないんだよな…)」


アレンは自分とAの血縁に間違いはないと確信したが、同時にヴォルデモート卿の母親、つまり、ゴーント家と出生地が同じと言うのに、穏やかでない空気を感じていた。


たどり着いた墓地は正直見るに耐えないレベルで酷い有様であり、アレンは冗談じゃないと言う顔をしていた。

さくさくと踏み込む度に足下の雑草から蜘蛛や、蛇、蛙なんかが出て来て、いかにもという雰囲気だった。



そして随分と見覚えのある場所に躍り出たアレンは、三年前のあの悲劇を思い出した。




「(俺とA達はここに飛ばされた、ということは間違いない…)」


アレンはルーモスと唱え、一つ一つ墓石を覗き込む、

「(ブリテンド、モイウス、アレキソン、ラーザス、クリケット、フィラエント…、)」

こんな家系本当にあったのかと言うレベルで珍妙な墓碑が並ぶ中、ぴたりとアレンは足を止めた。



「(あった、


ローゼッタ・ニコライ
…その隣に並んでいる夫の墓碑はロメリオ・ロウ・ニコライ…)」

探し求めていた墓碑にアレンは屈み込む。
ネーミングセンスを疑う祖先の墓碑名を前に、アレンは溜め息と零したが、先に見たマロニエの性の彼女をもう一度見つめた。




「(ローゼッタ・ゴーント


へ、)」



さあっとアレンは血の気が引いた。
ゴーント家と言えば、あのヴォルデモート卿の母方の家名の筈だ。

「(まさか…)」

アレンは慌ててロメリオの墓碑を見つめ、そこに刻まれた父親の名前を見ると、彼もまたゴーントの性を受け継いでいた。


つまり、このローゼッタとロメリオは従兄弟同士であり、この子供はゴートンの血を濃く受け継いでいる事になっている。

そしてこの二人こそ、マレリーヌ・クラシス・ニコライ、つまりAの曽祖母の生みの親であり、アレンの母方の祖父にあたる人を産んだ人だった。

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ゆう - こんなに引き込まれたのは初めてです。内容も構成も素晴らしい小説でした。主人公とドラコのむず痒いようで愛おしい関係に心が温まりました。本当に面白かったです。あなたの物語を読めたことに感激しています。素敵な話をありがとうございました。 (2020年11月20日 23時) (レス) id: ba6b4fdba7 (このIDを非表示/違反報告)
- とても読み応えのある作品で、完結まで休みなしで読み終えてしまいました。物語が進んでいく中で、主人公とドラコの関係性が少しずつ変わり、謎も解明されていき、終始どきどきがとまりませんでした。私の拙い言葉では言い表せないくらい、本当にすてきな物語でした。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: f5af52d735 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ナナナさん» 深夜ですか?!ありがとうございます!そこまで言ってもらえるととても嬉しいです(^^)本当にありがとうございます。 (2018年12月5日 7時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ - 読み始めたら止まらんくて気付いたら夜中の3時まわってた!とても引き込まれました〜とても面白かったです (2018年12月5日 3時) (レス) id: f9de44e996 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 水素ちゃんさん» こちらこそありがとうございます。始めて書いたハリポタ作品なだけあって、至らぬ点があったにではないかと何度も読み返したあの頃が懐かしいです^ - ^そんな経緯もあってか、真摯なご感想に感激しました。こちらこそ貴方様の様に素敵な読者様に出会えて光栄です。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサノ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年9月21日 23時

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