201 秘宝 ページ26
「僕よりも彼女だ、あそこは今一番危険な筈だ、分かって言っているのか？」
まさかの台詞にジョージだけでなくAも目を丸くさせていた。
普段なら顔を真っ赤に染める意気地のない男が、好きな女の為にここまで詰め寄ってくるとはジョージも思わなかったらしい。
落ち着けと手で制した後、Aに助けを求める程だ。
「ドラコ、落ち着いて、ジョージに悪気はないの。」
「悪気がないからこそ頭に来てるんだ。
第一君は怖くないのか？」
「私は闇祓いの娘よ、それに一ヶ月以上も追われていたもの今更怖くなんてないわ。」
「違うそっちの怖いじゃない。
自分にとって大切な人間が、危険に行く事が怖くないのかって聞いてるんだ。」
タイミング良くぎゅうっと手を握られてAは混乱した。
すっかり主導権をドラコに握られている事に、Aは焦りとも嬉しさともつかない曖昧な笑みを浮かべ、灰色の目を見つめるように顔を上げる。
「ドラコ、分かって、今は、だだをこねている場合じゃないの。
それこそ私だって貴方の方が怖いわ。」
「なぜ？」
「だって、貴方、その、ご両親を、」
上手く言葉が見つからず戸惑うAにドラコは呆れたように答えた。
「僕の事よりも自分の心配をしろ。
それに母上と父上の事だ、大方自分から僕を探しにくる、そのときに適当な言い訳を付ける。
僕は言い逃れだけは得意だからな。」
自嘲的ににやりと笑ったドラコに呆れたA。
目の前で甘いやり取りを見せつけられて、うげえと言う顔のジョージは妥協案を提示した。
「分かった俺が姫に付き添うつもりだったけど、マルフォイ、お前が行け。
ただし彼女を泣かせる事をしてみろ、俺たちウィーズリーが許さない。」
堂々と脅しを掛けるジョージにドラコは平然とした顔でやれる者ならやってみろと答え、Aの手を引いて、禁じられた森まで走って行ってしまった。
そんな二人をやれやれと見送ったジョージは音もなく現れた片割れに、ひょいと肩をすくめてみせた。
「ああ〜見せつけてくれるよな本当。」
「それよりも見たか相棒、あの姫の顔。」
「ああ、これから命をかけて戦うって言うのに、」
「「幸せそうだったな。」」
双子は最後に顔を見合わせ、小さく笑った。
例え憎い者同士でも共通してまもりたいものがあれば、そちらを優先できる。
それもまた一つの愛情の形、というかの有名な人の口癖をジョージは一人、思い出していたが敢えて口には出さなかった。
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ゆう - こんなに引き込まれたのは初めてです。内容も構成も素晴らしい小説でした。主人公とドラコのむず痒いようで愛おしい関係に心が温まりました。本当に面白かったです。あなたの物語を読めたことに感激しています。素敵な話をありがとうございました。 (2020年11月20日 23時) (
レス) id: ba6b4fdba7 (このIDを非表示/違反報告)
の - とても読み応えのある作品で、完結まで休みなしで読み終えてしまいました。物語が進んでいく中で、主人公とドラコの関係性が少しずつ変わり、謎も解明されていき、終始どきどきがとまりませんでした。私の拙い言葉では言い表せないくらい、本当にすてきな物語でした。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: f5af52d735 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ナナナさん» 深夜ですか？！ありがとうございます！そこまで言ってもらえるととても嬉しいです(^^)本当にありがとうございます。 (2018年12月5日 7時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ - 読み始めたら止まらんくて気付いたら夜中の3時まわってた！とても引き込まれました〜とても面白かったです (2018年12月5日 3時) (レス) id: f9de44e996 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 水素ちゃんさん» こちらこそありがとうございます。始めて書いたハリポタ作品なだけあって、至らぬ点があったにではないかと何度も読み返したあの頃が懐かしいです^ - ^そんな経緯もあってか、真摯なご感想に感激しました。こちらこそ貴方様の様に素敵な読者様に出会えて光栄です。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月21日 23時
