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白石side



2日後、意識を取り戻し容体も落ち着いて来た倉田さんの元に謝罪へと向かった。


「骨盤骨折の見落としがあって、二次救急の病院に搬送してしまいました」


そこに名取先生が入ってたことで思わず足が止まる。


「私の責任です。申し訳ありませんでした」


そう頭を下げると看病していた倉田さんの奥さん、和美さんが


「そんな...こうして助けて頂いたんだし。現場のことは本人もよくわかってますから」


と言ってくれたものの黙ったままの倉田さん本人が気になり、それを見た和美さんが


「違うんです。この人、別のこと気にして....」


別のこと....?


倉田さんは隣のベッドに目をやり、こう言った。


「白石先生、あの子は....」


倉田さん視線の先の隣に寝ているのは河口付近で発見された溺水の作業員の吉崎さんだった。


生命維持のために口をマスクで覆われ、体から伸びた様々な管が機械に繋がれている。


それを藍沢先生と灰谷先生がチェックしている。


「一緒に流されたんだ」

「吉崎さんは、この2日間、意識が戻っていません」

「....彼は目を覚ましますか」


その質問に私は厳しいでしょうと小さく首を振った。


それを見た倉田さんは吉崎さんから視線を外すと天井を仰いだ。


「俺が殺した」

私はその言葉にかける言葉が見つからなかった。


「俺は水の中で彼の手を離した。20歳そこそこの若者の未来を閉ざした」



藍沢side



ICUから出ると深海が向こうからやって来るのが見えた。


「今、電話しようと思ってたんだ。奏ちゃんの検査結果」

「脳の腫れはどうだ」

「CTはよさそうだよ。もう少し意識がよくなったら麻痺の確認もできるだろう」

「そうか」


深海は俺の目にかすかな不安を感じたのかニコッと笑って見せた。


「いい結果を期待しよう。大丈夫だよ。俺とお前でやったんだ」

「....ああ。そうだな」


とそうであって欲しいという願いも込めて答えた。

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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2022年7月30日 12時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて励みになります!テストが終わり次第また更新再開しますので、もう少しだけお待ち下さい! (2017年12月3日 14時) (レス) id: 773a14c9ee (このIDを非表示/違反報告)
mana(プロフ) - こんにちは!!! 素敵なお話ですー! 今後の展開が楽しみですヽ(´▽`)/) 期末…私もやばいな…(苦笑) (2017年11月28日 14時) (レス) id: 2e1de89dff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかり | 作成日時:2017年11月22日 23時

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