対上弦の壱 ページ18
無惨がいるところへ、早く、速く、生き物のようにうごめく城の中を駆けた。
『(強い鬼の気配っ!!……上弦の壱か……)』
上弦の壱は、私が無限城に囚われていた時もあまり関わりがなかった。だから情報量が少ない。
「カァ!!カァ!!上弦ノ壱ト岩柱、風柱、霞柱、不死川玄弥の四名ガ交戦中!!Aモ加勢シロ!!」
『了解……でも柱三人と玄弥くんの4人がかりでも劣勢なんて……一体どれほどの力を持ってるの……』
鎹鴉に案内されて着地した場所でまず目に入ったのは……
片腕がなく、肩に突き刺さった自らの刀を抜いている無一郎くんだった。凄い失血量、そして想像を絶する痛みだろう。
『無一郎くん……』
私は彼の肩の傷に包帯を巻いていく。呼吸で止めているとはいえ、この失血量だとこの程度の処置ではもたないかもしれない。
「A俺にはもう時間が無い、この失血量だともってあと数時間かな。だから俺は途中で死ぬと思うけど、Aはここで死なないでね。」
無一郎くんは淡々と言うけど、私の目からはポロポロと涙がこぼれ落ちた。
“死なないで、逝かないで、置いてかないで”
この期に及んでそんなことを思ってしまう私は腰抜けだ。無一郎くんは、鬼殺隊として立派に務めてるのに。本当に無一郎くんは年下に見えないなぁ。
涙で濡れた頬を隊服の袖で拭い、頷いた。それを見た無一郎くんは優しく微笑む。
『行こう』
「うん」
今も実弥や悲鳴嶼さんは戦っているんだ。一刻も早く加勢しないといけない。
「時透さん!蒼天さん!」
『玄弥くん!』
上弦の壱の元へ走ると、胴と腕が両断された玄弥くんが倒れていた。それでも生きているのは彼が鬼食いをしているから。
「Aは先に行って。玄弥は俺が見るから。」
『……分かった』
無一郎くんは玄弥くんの元へ向かい、私は上弦の壱と実弥達のところへ向かって走る。
「僕はAと会えて良かったよ。ありがとう。」
「Aさん、兄貴のことよろしくお願いします」
やっと涙が止まったのに、なんでまた泣かせにくるかなぁ……。
私は涙を拭って、振り返らない。
何を犠牲にしたって上弦の壱も無惨も倒さなきゃいけないから。
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ゆりなんぽん - あぁもうハラハラします!せめて、夢主だけでも幸せになって! (2020年6月6日 18時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@低浮上(プロフ) - 好き好き好き好き好き好き好き好き好き((頑張ってください!最後二人には幸せになってもらいたい…!! (2020年6月1日 22時) (レス) id: 98b52071c9 (このIDを非表示/違反報告)
なな - もう!不死川くんキュンキュンしちゃうわ!(蜜璃ちゃん風)実弥の落ちが好きになる…! (2020年4月26日 9時) (レス) id: 0166b3d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
なるは。(プロフ) - コメントありがとうございます!個々に返信できなくてすみません……でも本当に応援のコメントが励みになっているんです。もう感謝しかないです……これからもこの作品をよろしくお願いします! (2020年4月23日 19時) (レス) id: 091bffa261 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 続編おめでとうございます!!とーってーっも面白いので、応援してます!! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 0166b3d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるは。 | 作成日時:2020年4月16日 10時