柱の少女は、狙われ体質。弐

陸拾弐 ページ14

時透(実戦経験は少ないんだろうな。力任せで規模が大きいだけの精度の低い血鬼術。あの岩の攻撃を抜けて間合いにさえ入れれば…)

時透「霞の呼吸 肆の型 移流斬り」





無一郎君は下弦の壱とその後ろにいる、女の鬼・下弦の肆を相手にして攻撃する。









無一郎くんの様子を見てから、私は下弦の弐と参に向き直る。

『私の相手は君達だよね？

宙の呼吸 参の型 天の渦』




私は両方の鬼へ同時に攻撃をする。


下弦の参「血鬼術 闘拳！」

(なんだ、あんまり威力も速さもない。避けるのは容易いな。)

血鬼術を避けきり、隙がみえたところで下弦の参の首を切り落とした。




下弦の参「なっ！？あの御方に血をたくさん分けてもらったんだ！こんなところで死ぬ訳にはいかぬ……何故だ……」

『ごめんね、君の言葉を最後まで聞いてる暇はないんだ。なので、素早く安らかに地獄へ行ってください。』




さて、次は下弦の弐だ。

と刀を持ち直すと、右方にいたはずの下弦の弐が消えていた。







時透「A、後ろ気をつけて」

落ち着いた抑揚のない声で無一郎くんに忠告される。

ちなみに無一郎くんはいつの間にか下弦の壱を倒していた。

さらには下弦の肆を圧倒している。








『大丈夫、分かってる』

後ろに迫ってくる気配を感じ、刀を振りながら振り返る。




下弦の弐が木の上にいて、何かを放つ。

下弦の弐の血鬼術か。細く尖った針のようなものが飛んでくる。……おそらく毒がある。触れることすら危険だと本能が言っている。



下弦の参と比べて、血鬼術の厄介度が桁違い。

鬼舞辻の血を多くもらっているのかも。







勢いと技の範囲的に防ぐのは容易い。技を出そうと刀を持ち替えたその瞬間、


小さな人間の子供が視界に入った。子供は怯えた様子でこちらを伺っている。







下弦の弐「あれぇ、人の子供じゃないか？運が悪い子供だねぇ。それとも僕の毒で死にたいのかな？」








なんでこんなところに子供がいるの！

鬼が子供の方へ目をやり、次はニヤッと私に目を向けた。









そして……私の目に写った震える子供は、私があの時、見殺しにした妹の姿と重なった。

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