今日、鬼が『死』んだ【鬼灯の冷徹】 (ページ15)

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『死ねばいいのに』

『いなくなれ』

『消えろ』

そんな言葉を簡単に口にしないで。

せめて『ウザい』でとめて。

なんなら、悪口なんて言わないで。

私の前で、言わないで。

跳ね上がった鼓動がまだ、治まらない。

知ってしまった、

知ってしまった、

知ってしまったんだ。

自分が死んだ、その先を。

真っ暗になった部屋で、お休みの時

目を閉じたら、もっと深い闇が見える。

前から妄想していたことである。

『死』とは、どのような感覚なのだろうか、と

『死』は、寝っ転がって、目を閉じると起こる

だから、この時が好都合だ。

まずは、感触が分からなくなるだろう。

体に触れている布も、もちろん。

なんなら、裸で暗闇に浮いている、でもいいだろう

次は、体が分からなくなる。

想像力がない人には難しいかもしれないが

手というものがなくなる、

足というものがなくなる、

体が、ほら、なくなった。

もう、動かせない。

痛みもない

温もりも

さぁ、ここからだ。問題は

『考える』しかできなくなった自分…この感覚は、

【魂】と言うべきか。

そしてこれが、転生したり、幽霊になったりするんだろう

でも、

もし、

もしも、

【消失】しか、ないのなら？

消えるんだよ

『意識』も。

１＋１も

好きだったのも

嫌いだったものも

きえてしまう…恐怖も。

あ、

消えた

「！」

その時、まるで階段から落ちた夢を見た時みたいに

本能が、反射的に目を覚ました。

全身に電流が流れたみたいで、

服が冷たいと感じるほど冷や汗を掻いていて、

体も震えが止まらなかった。

じわじわと目に涙が溜まっていった。

分からないものへの恐怖心、

そして恐怖から逃げたいという本能。

それはここから生まれたのだろうか？

一生をかけても、きっと分からないのだから。

そして、一番怖いのが、

この感覚を、必ず体験しなければならないということだ。

…もう、考えるのをやめよう

生き物はこの恐怖から逃げているから、考えないから、幸せなんだ。

無駄な事をして、生きていこう

誰かの心に、私が生きていれば、それでいい。