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第弐章 精神裁判開廷__事件 ページ9

「精神裁判?」

聞いたことのない裁判だ。
というかここは体育館のはず…一体何がどうなっているんだろう。

想像もしていなかった展開に戸惑った僕は、隣の人に話しかけた。

隣に座っていたのは、さっき話したばかりのにゃーちゃんだった。
思わず彼女の顔を凝視してしまう。

すると視線に気付いたのか、にゃーちゃんが不思議そうな顔をして話しかけてきた。
そりゃそうだ、至近距離でガン見されたら嫌でも気付く。

「どうしたの、松野くん?」

「へっ!?えっと、そのぉ…。
あ、ね、ねぇ、ここって、体育館だよね?精神裁判って何…?」

めちゃくちゃ噛んだ。誰か僕を殺してくれ。

「何言ってるの、そのままの意味よ」

特に気にした様子もなく、にゃーちゃんは言った。

「そ、そのままっていわれても……」



「そこ、静粛に。私語は慎みなさい」



壇上の男性に木槌を打たれ注意された。

「だめだよ、あの裁判長…赤の王様の言うことは絶対なんだから」

にゃーちゃんは声をひそめてそう言った。

「わ、わかった」

どうやら壇上の男性は“赤の王様”というらしい。
彼はこの場で絶対の権限を持っているようだ。裁判長…なのか?


「それでは、いかれ帽子屋検事。冒頭弁論をお願いします」


赤の王様が促すと、左手側に帽子を被った奇妙な格好の少年が出てきた。

彼がいかれ帽子屋検事なのだろう……って、

(トド松!!!???)

いかれ帽子屋検事と呼ばれた少年は、僕の弟、松野トド松と瓜二つであった。

てかアイツ何やってんの!?

僕が混乱していると、いかれ帽子屋検事…もといトド松はもったいぶっておじぎをすると、冒頭弁論を述べ始めた。


「はい、赤の王。それでは…

つい先程2年3組に所属する白ウサギは、この学校の東校舎2階、視聴覚室で死体で発見されました。
死亡原因は包丁で首を一刺し、死体が見つかったのは、えーっと、つい先程。
第一発見者は被告人ハートの女王。

…事件の概要は以上です」


「なるほど」


「よって第一発見者のハートの女王が白ウサギを殺した、とボクた…我々は迅速に判断しました」

いやお前何言ってんの!?

「よろしい。第一発見者が被害者を殺したと十分判断できます」

お前も何言ってんだよ!!

「全くもってその通りです」

「それでは被告人ハートの女王に首切りの処刑を言い渡しま――…」


「えぇ!?ちょっと待って!?」


思わず僕は大きな声をあげて席を立ち上がってしまった。
……やばい、僕何やってんだ。

第弐章 精神裁判開廷__規則→←第壱章 白ウサギの行方__体育館



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如月慧音花(プロフ) - ひぇ、ありがたいお言葉…!ありがとうございます、頑張ります…! (2020年11月19日 15時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - ずっと待ってますよ! (2020年11月12日 0時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - 僥姫さん» 更新できてなくて本当に申し訳ないです。受験勉強がある上に今はこのお話を書くモチベーションが上がらなくて…。本当に申し訳ないとは思っているのですが、待っていただけると嬉しいです (2020年6月24日 17時) (レス) id: dbf5a4fb19 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - 続きは何処に? (2020年6月24日 12時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月慧音花 | 作成日時:2019年12月1日 17時

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