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第参章 被告人アリス__思い出したい? ページ33
更新再開します!これからもよろしくお願いします!
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僕は、思いっきりため息をついた。
「ハーゲン○ッツは無理。せめてパ○ムにして。
…じゃなくて!ねぇ、さっきの裁判、見てた?」
そう言うと、おそ松兄…、いや、チェシャ猫はうなずく。
…うん、ハーゲンダッツはお小遣い的に無理だから、そんな悲しそうな顔しないで。
「そう、その場の勢いでハートの女王様の弁護をしちゃったんだけど、
僕、いろんな事が思い出せないんだ」
そう、今思えば、あれは完全な勢いだった。
普段の僕ならきっともっと冷静にいられたはずなのに。…きっと。
まぁ、自分の学校の生徒が殺されたってなったら、皆そうなると思うけど。
そんなことを考えながら続ける。
「死んだ白ウサギと仲が良かったって事も、君と友達だったって事も覚えが無いし、
何で教室で眠っていたのかも、事件当時、僕がどこで何をしていたのかも、記憶がなくて…」
僕がたどたどしく説明をしている間、チェシャ猫は黙って話を聞いていてくれる。
「あ、でも全部の記憶がなくなっているわけじゃなくて!
ここが僕の通ってる学校だって事は覚えてるし、
父さんとか母さんの事とか“兄弟”の事も、ちゃんと覚えてる。
でも所々、穴が開いたみたいに思い出せないだけで…」
兄弟…。今は顔が似ている人がいるだけだけど。
今のところ、出会っているのはおそ松兄さんとトド松だけ。
他の4人も、学校のどこかにいるのだろうか。
『アリスは、思い出したい?』
チェシャ猫が、まっすぐな瞳で僕を見る。
思い出したい?という問いと“アリス”という呼び名に
何故か一瞬ぞわりと寒気がしたが、僕はチェシャ猫に答えた。
「うん、思い出したい」
『そうか』
チェシャ猫はうなずいてこう続けた。
『俺はチョロ松が、白ウサギを視聴覚室で殺していないと証明できるかもしれない』
「え、本当に…!」
チェシャ猫は頷くと、カウンターへと歩いて行った。
…………………今、チェシャ猫の書いていたノートに僕の名前があった。チョロ松、と。
でも、それを書く前に多分“アリス”と書いたのだろう。何かを消した後があった。
何で、皆僕のことを“アリス”と呼ぶのだろう。
………その言葉を、体のどこかが覚えてる。
何でだろう。
…………………僕には、わからなかった。
わかることを、どこかで拒否している…、そんな気がした。
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7人がお気に入り
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如月慧音花(プロフ) - ひぇ、ありがたいお言葉…!ありがとうございます、頑張ります…! (2020年11月19日 15時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - ずっと待ってますよ! (2020年11月12日 0時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - 僥姫さん» 更新できてなくて本当に申し訳ないです。受験勉強がある上に今はこのお話を書くモチベーションが上がらなくて…。本当に申し訳ないとは思っているのですが、待っていただけると嬉しいです (2020年6月24日 17時) (レス) id: dbf5a4fb19 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - 続きは何処に? (2020年6月24日 12時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月慧音花 | 作成日時:2019年12月1日 17時