検索窓
今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:4,682 hit

第参章 被告人アリス__思い出したい? ページ33

更新再開します!これからもよろしくお願いします!
―――――――――――――――――――――

僕は、思いっきりため息をついた。

「ハーゲン○ッツは無理。せめてパ○ムにして。
…じゃなくて!ねぇ、さっきの裁判、見てた?」


そう言うと、おそ松兄…、いや、チェシャ猫はうなずく。

…うん、ハーゲンダッツはお小遣い的に無理だから、そんな悲しそうな顔しないで。


「そう、その場の勢いでハートの女王様の弁護をしちゃったんだけど、
僕、いろんな事が思い出せないんだ」


そう、今思えば、あれは完全な勢いだった。
普段の僕ならきっともっと冷静にいられたはずなのに。…きっと。

まぁ、自分の学校の生徒が殺されたってなったら、皆そうなると思うけど。

そんなことを考えながら続ける。

「死んだ白ウサギと仲が良かったって事も、君と友達だったって事も覚えが無いし、
何で教室で眠っていたのかも、事件当時、僕がどこで何をしていたのかも、記憶がなくて…」


僕がたどたどしく説明をしている間、チェシャ猫は黙って話を聞いていてくれる。


「あ、でも全部の記憶がなくなっているわけじゃなくて!
ここが僕の通ってる学校だって事は覚えてるし、

父さんとか母さんの事とか“兄弟”の事も、ちゃんと覚えてる。

でも所々、穴が開いたみたいに思い出せないだけで…」


兄弟…。今は顔が似ている人がいるだけだけど。

今のところ、出会っているのはおそ松兄さんとトド松だけ。
他の4人も、学校のどこかにいるのだろうか。



『アリスは、思い出したい?』



チェシャ猫が、まっすぐな瞳で僕を見る。


思い出したい?という問いと“アリス”という呼び名に
何故か一瞬ぞわりと寒気がしたが、僕はチェシャ猫に答えた。


「うん、思い出したい」


『そうか』


チェシャ猫はうなずいてこう続けた。


『俺はチョロ松が、白ウサギを視聴覚室で殺していないと証明できるかもしれない』


「え、本当に…!」


チェシャ猫は頷くと、カウンターへと歩いて行った。














…………………今、チェシャ猫の書いていたノートに僕の名前があった。チョロ松、と。


でも、それを書く前に多分“アリス”と書いたのだろう。何かを消した後があった。


何で、皆僕のことを“アリス”と呼ぶのだろう。



………その言葉を、体のどこかが覚えてる。
何でだろう。






…………………僕には、わからなかった。

わかることを、どこかで拒否している…、そんな気がした。

第参章 被告人アリス__アリバイ→←幕間



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

如月慧音花(プロフ) - ひぇ、ありがたいお言葉…!ありがとうございます、頑張ります…! (2020年11月19日 15時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - ずっと待ってますよ! (2020年11月12日 0時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - 僥姫さん» 更新できてなくて本当に申し訳ないです。受験勉強がある上に今はこのお話を書くモチベーションが上がらなくて…。本当に申し訳ないとは思っているのですが、待っていただけると嬉しいです (2020年6月24日 17時) (レス) id: dbf5a4fb19 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - 続きは何処に? (2020年6月24日 12時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:如月慧音花 | 作成日時:2019年12月1日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。