【鬼灯の冷徹】遠い存在【白澤】

混乱 ページ9

『は、白澤様！？どうしたんですか急に！離れてください』





引きはがそうと試みたが、どうも男の人の力には負けるらしい。







すると背中に手が周り、耳元で聞きなれない声で囁かれる。








「ねえ、A、何でもしてくれるって言ったよね？もう少しこのままがいいなぁ」


『っ…』







何でも、なんて言うんじゃなかった。









やばい、あたしの心臓が、鳴りやまない、煩い。









「白澤様だったらこんなことしてくれる女の子いくらでもいるじゃないですか」









出た、素直じゃないあたし。しかし 本音でもある。








好みの女の子にこういうことをしてもらった方が、白澤様の為にもなるはず。







「やっぱり馬鹿だね、A。今はお前がいいからこうしてるの」









‘今は’









その言葉が深く胸に刺さる。









この人は‘今’じゃなかったらあたしを選ばずに、他の人のところへ行く。









どうして‘今’なんだ。別に‘今’も‘あと’も変わらないだろう。






‘あと’だったら女の子との予定が合わないんですか？









なんて、そんなこと口に出来る程、メンタルは強くなかった。

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