【鬼灯の冷徹】遠い存在【白澤】

否定と肯定 ページ15

『はぁ…そんなわけないでしょ。』









大嘘をついた。

本当は、本当はこの人が好き。






貴男を好いています、なんて言葉にするのが怖すぎる。


こうなるからこいつとは恋話ないし、病みそうになるから‘恋’なんてものは億劫になってしまう。









「えぇ〜、僕のこと好きだと思ったんだけどなぁ」



唇を尖らせながら文句を言うな口調で訴える。

　


いや、私のこの接し方を毎日見ていて どこに自分が好かれていると感じる要素があっただろだうか。





『なんでそう思うんですか〜』




目なんて合わせて話さずに、目の前にある仕事を片手に問う。






「それ聞いちゃう？？」


『聞きますよ、気になりましたもん。』





え〜どうしようかな〜、と勿体ぶって肝心なところは切り出さない、言おうとしない。






『もー。いいです、大丈夫。早く仕事しましょ』


「なんか今日可愛いね、言い方が」




言い方が、を強調されたのは気のせいってことにしたい。したい。









「失礼しまーす、白澤様はいらっしゃる？」





綺麗な大人の女性。
この人もまた彼の魅力に惹かれやって来たのだろう。




と、私が出るまでもなく

　
「いらっしゃ〜い、リーちゃん」




いかにも 待ってました という表情を浮かべ、リーさんを迎える。






今日はなにする？

白澤様のお好きにして








そんな会話が聞こえてきて、耳を塞ぎたくなった。

こんな時は地獄の芥子ちゃんのとろこへでも行こう。

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