孤独(ラドル&マレウスside) ページ21
「貴様は……」
「ひゃひ!?」
寮長の彼は僕の顔をじーっと覗き込む
何!?
擬人化薬効いてなくて顔に鱗でも出てきてる!?
ビクビクしていると彼は不思議そうな顔をして言った
「おいリリア、こいつ前回の奴と違うぞ?」
「何じゃと?」
「ぃ!?」
み、見破られた!?
前回はランドールが配達に行ったんだ
ならそんな返答がくる訳が……
「どれ、少し見せてみろ。」
「!」
彼がクイッと指を曲げると僕の胸元から魂が飛び出した
……え
「え"ぇぇぇ!?」
ランドールが体を操ってる時と彼が魂を出す時以外では初めて見る魂は薄紫と濃い紫が混ざり合い、淡く燃えていた
「ほぅ、これはこれは珍しい。一つの体に二つの魂が同時に存在しようとは……」
「おお!聞いたことがあるぞ!確か魂分離症と言うものじゃな!しかし実際に見るのは初めてじゃ!」
「魂分離症?」
「おや?両親から聞かされておらなんだ?魂分離症とは一つの体に二つの魂が同時に存在し、人格も別れてしまう症状の事でな。双子の片方が流産して発症するケースが殆どじゃな。分離した魂は体を己が物にすべく本体の魂に巣食い、争う。やがて本体の魂が負ければその魂は分離した魂の方に飲み込まれて消え、分離していた魂こそが主となる。その様子じゃ知らなかったようじゃな?」
「か、母さん、そんな事言ってなかったのに……」
知ってたりするのか
後で問いたださないと
というか恐ろしっ!
体乗っ取られたら僕消えちゃうって事!?
嫌だ、そんなの絶対……!
「まぁそう恐れる事はない。お前が強くあれば良い話だ。にしても、あやつは面白いやつだったぞ。それにこちらもあいつを焼いてしまったからまぁお互い様だ。」
「へ?焼いた?」
「あぁ。そう、あれは僕が玄関に赴いた時の事……」
そう言って彼は語りだした
ーーーーー
「ふむ、やや早く起きすぎたか。」
皆がまだ寝静まる寮
それがつまらなくてで僕は外を散歩をしていた
空は暗雲が立ち込め薄暗く茨が生い茂る
それが嫌という訳ではないがどこか物寂しい
皆が僕を恐れる
敬われる事に悪い気はしないが誰も僕の本当の気持ちなどには気づかない
退屈だ
誰かこの孤独と退屈を癒やしてはくれないだろうか
そんな事を考えながら寮に戻ろうという時
(おや?)
寮の前に誰かが立っている
他寮の生徒か
こんな時間に一体何を……
僕は話しかけようと近寄った
が、次の瞬間その者は姿を消した
姿どころか気配さえたちどころに消えてしまったのだ
(何……?)
あり得ない事だった
この僕が気配を探れないなど
僕は目を閉じ探り出した
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あんかけうどん(プロフ) - Aliceさん» 嬉しすぎる言葉をありがとうございます!ランドールはいいぞ……是非映画の方もご覧になってみてください。インク→ユニバーシティ→インクの順に見るのがおすすめです! (2021年12月25日 16時) (レス) id: 91a4551153 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - クリスマスに一気に読んでしまった、ランドールの魅力をこの小説で知れました、ありがとうございます! (2021年12月25日 14時) (レス) @page32 id: 31d32091d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんかけうどん | 作成日時:2021年12月16日 10時