逃亡 ページ33
「でもどうしようか、どこか出られる場所は……」
「こいつ!待つんだぞ!」
逃げ道を探しているとあの魔獣がおってきた
ちょっと待ってあの魔獣人語喋るの?
「あ、あそこの扉に隙間が!」
「ホント!?でも勝手に出てったら怒られ……」
『いいから走れアホ!焼かれたいのか!』
「あぁもうどいつもこいつも喧しいなぁ!わかったから!君!背中しがみついて!」
「え、え!?は、はい!」
僕は背中に彼を乗せると全速力で駆け出した
幸いトカゲ状態の速度はかなり素早い
壁も天井も柱だって駆け回れる
(ランドールの地獄の特訓が役立つとはなぁ……)
元から速いは速かったのだがうまく消えられる訓練のついでにトカゲ状態での速度をもっとあげろと怒鳴られ毎晩誰もいない深夜の街を走らされた
図書室までくればもうあの魔獣は追ってこなかった
「ぜぇ……寝起きに運動って結構キツいな……」
「あの……」
「ん?」
背中に乗っていた彼は申し訳なさそうに僕から降りるとチラチラと下を見た
「何?僕の体なんか変?」
『アホなお前に教えてやる。今目の前にいるのは親でもジャックでもない一般人でお前は獣人状態だ。』
「……〜!?」
咄嗟に近くの本棚に隠れる
しまった見られちゃった!
「み、見ないで!ごめんね気持ち悪いよね!他の誰にも言わないで!」
わたわたと無駄なのに下を隠す
今の僕は腕は収納して下は丸出しにしている状態だった
つまりトカゲ状態の服装
起きたら棺桶の中でさっさと擬人化して着替えて出てくる予定だったのにランドールがあんな事言うからすっかり失念していた
彼はおどおどとしつつ僕に近づいてきた
何だよ!脅すつもりか!?
そんなの怖くないぞ!怖くないったら!
そうこうしていると彼は僕の前でお辞儀した
「さっきは助けてくれてありがとうございました!」
「へ?」
突然の事にまたもフリーズする
彼は続ける
「あ、私菜乃前ユウっていいます。何か気づいたらここにいて……ここはどこでしょうか?」
「え、NRC……君も生徒じゃないの?」
変な事を言いだしたので僕は思わず普通に返してしまった
「いえ、私は家で寝てたらいつの間にかここに……あ、もしかしてこれ夢ですか!そうですよね!よーしじゃあ頬をつねったらもう朝の筈!えいっ!……いひゃい」
一人漫才を始める彼に唖然とする
隣でランドールが頭のネジイッてんのかと毒を吐いていたがそれよりも僕は驚いた
「君、もしかして日本人?」
「え、は、はい。」
(マジかよ)
彼……いやまさか彼女か?
ともかくこの子は異世界から来たのだと理解してしまった
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あんかけうどん(プロフ) - あんぱんさん» ありがとうございます! (9月14日 22時) (レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
あんぱん - ランドール好きなのでうれしいです! 面白かったです! (9月14日 22時) (レス) @page28 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
あんかけうどん(プロフ) - 竜の騎士さん» ありがとうございます!嬉しいです! (2021年12月10日 17時) (レス) id: 91a4551153 (このIDを非表示/違反報告)
竜の騎士 - はじめまして。最初から読んでみましたが、とても面白くてすぐにハマりました!更新楽しみにしています! (2021年12月10日 13時) (レス) id: 796a1a3707 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんかけうどん | 作成日時:2021年11月25日 4時