君に失恋したから髪を染めた【羽風薫】 (ページ2)

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1話
sideA

英智「…A、髪の色染めたのかい？」
A「あ、うん。ちょっとね」

ずっと明るい色だった髪をダークブラウンに染めた。

英智「何かあった？」
A「大した事じゃないよ」
英智「…僕には言えないことかな？」
A「そういう訳じゃないんだけど…」

まぁ、隠すほどのことでもないか。

A「失恋したんだよ」

私の言葉に驚いたように目を見開く英智。
驚くのも無理はないか。
今まで1度も話したことないし。

A「私とは仲良くしたくないみたい」
英智「失恋って…相手は羽風くんかい？」
A「よく分かったね」
英智「Aが仲良い男子生徒は多くないからね…それに彼とは幼なじみだろう？」
A「うん」
英智「どうして、そんなことに？」
A「わからない。けど、私と話してくれなくなっちゃった」

ガキみたいな理由だと思うだろう。
だけど、私みたいな人間にとっては大事な事だ。

A「きっと天祥院を名乗る女とは仲良くしたくないんだよ」
英智「さすがに言い過ぎだと思うけど？」
A「それの方が納得しやすいかなって」

私自身がね。

A「だからね、この前言ってた姫宮との件、前向きに検討しようと思ってるんだ」
英智「…正気かい？あれはただのジョークだよ？」
A「ジョークでも大事な事でしょう？天祥院のためなら私は構わない」
英智「…本気かい？」
A「うん」

この恋が叶わないなら、こうする方が楽だ。
恋なんかｰｰｰｰｰｰｰしない方が良い。
だから、

A「姫宮家次期当主との婚約を了承する」

それが私を守るためだから。