14.理由 ページ14
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告白したつもりだった。
彼女にして、同じ高校行って、連れてく。
そういう意味だった
『えーほんと?!楽しみー!』
俺が馬鹿だった。
『じゃー鳴、もっと練習頑張らなきゃね!!』
この鈍感女に、こんな間接的な言い方した俺が馬鹿だった。
『…鳴?どうかした?』
「…なんでもねーよ!!」
この時、もっとはっきり言ってれば、何か変わったのかな。
こいつが一也に恋するのは、
このあときっかり1年後の話。
そのあと、クラスのヤツらにさんざん馬鹿にされたことは、言うまでもない。
◇ ◇ ◇
…あー、またこの目だ。
『み、御幸くん、お疲れ様っ』
俺のこと見てるようで、全く見えてないこの目。
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中学2年ですげえ身長が伸びた。
そしたら、あからさまに女子の態度が変わった。
「御幸くんって結構よくない?」
「かっこいいよね…」
おいおいなんなんだそのボリュームは。
聞かせてえの?聞いて欲しくねえの?
俺に話に入ってこいって?
なんか告白とか何回かされたけど、すべて丁重にお断りした。
好きでもねえのに付き合ってもろくなことなさそうだし。
そんなことより野球の方が面白い。
『御幸くん、お疲れ様っ!』
「おー望月、いつもサンキュ」
望月A。
クラスの女子の延長線上みたいなもん。
すげーわかりやすくて、モロ顔に出るタイプ。
俺が好きって、顔に書いてある。
でもこいつのことは、より一層丁重に扱わねばならない。
「Aー?…またここにいたのお前。一也困ってるじゃん」
『えっ困ってる?!』
「よー鳴。じゃ、俺そろそろ行くわ」
『バイバイ、御幸くん!』
「バイバイかずやぁー」
さっさと退散。…目がこえーよ、鳴。
どう考えてもお前、鳴の女じゃん。
なんで俺なんかが好きなのか。ほんと、奇特なヤツ。
だから、告白されてもなんら驚かなかった。
いつも通りのセリフを吐いて終了、
これで鳴のところに行くだろ、
思ったら。
『私のこと、振ってくれてありがとう』
『絶対、振り向かせてみせるから!!』
まさかのあきらめない宣言。
正直、笑った。
振られて成長するヤツって、いるんだ。
「野球より面白い女だったら、付き合ってやるよ」
上から目線。
でもこいつは満足げにニッと笑って。
『……………上等』
こんな女、初めて。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時