46.笛音 ページ46
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最初は、単純だった。
御幸くんに認められたくて、
負けたくなくて、
鳴に認めて欲しくて、
薬師高校に入学した。
でも
先輩たちと会って、
真田や平畠に会って、
練習する姿を毎日見てきて、
疲れた身体をマッサージして、
そして何より、
私たちを変えてくれた、この親子を、
甲子園に、連れていきたくてーーーーー
ずっとずっと、
一緒に野球がしたくてーーーーー
青春のすべてを捧げた野球に捧ぐ。
「ゲームセット!!!」
うちの怪物スラッガーのバットが空を切ると同時に、
青道側のスタンドが、これ以上ないほど湧き上がり、
監督は黙って帽子を下げて、
ぼたぼたと、雷市の瞳から涙がこぼれた。
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負けた。
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さよなら、2年の夏。
さよなら、甲子園。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時