23.呼吸 ページ23
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……………………もう何日経ったかな。
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電車に揺られて数十分、かばんを持って、駅から無我夢中で走った。
『あの…………カルロスくん…………!!』
「…望月ちゃん?」
どうしたの?
グラウンドの外、汗を拭きながら優しく笑うカルロスくん。
『あの……………鳴に会いに来ました』
「………………で?」
『…え?』
てっきり「あーそのことか」的なことを言われるかと思えば、カルロスくんは本当に不思議そうに私を見て。
『えっと……鳴のとこに案内して欲しくて』
「あいつの部屋なら、寮の1番手前だよ」
『…あ、うん、ありがと』
胸にもやもやを抱えながら稲実の寮へと歩く。
たぶん他校の制服で浮いてるけど、
そんなの気にならないくらい、私は緊張していた。
扉の前に立って、二三度深呼吸すると、
コンコンとドアを叩いた。
『鳴ー!わたし!Aだよー!遊びに来たー!』
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『………………………』
返事なし。
『めーい!いないの?Aだよー!』
返事、なし。
『めーーーいーーー?!』
返事なし。
『…………………』
ガンガン扉を叩くのをやめて、ドアノブに手をかけた。
『………………開けるよ?!』
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「来んな」
扉は動かない。
ドアの向こうから聞こえた声は、
私が今まで聞いたことのないような、
冷たい声をした、幼なじみの声だった。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時