22.駆足 ページ22
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いつも自信満々、その自信に見合う実力も才能も、全部持っている私の幼なじみ。
甲子園でも、高校入っても、すっかりうまくやってるもんだと思ってた。
スクイズを読んでいたにも関わらず大暴投。
結果それが、試合を決める1点になってしまい、
先輩達の夏を終わらせてしまった、
その責任感からか、
人目をはばからず泣き続けた、そう聞いた。
4月に、私は鳴の誘いを受けなかったことを、少し後悔した。
それでも連絡はとらなかった。
ーーーー後悔しても知らないよ?
ーーーー絶対しない。
そう言い切ってきたから、
でも、
ーーー成宮は、しばらく練習にも出ていないらしい
いつもの川原、草の生い茂る土手、
ギラギラ照りつく夏の太陽
高笑いしながらバットを振る息子と、
それを見る父親。
いつも通りド派手なスイングをぼーーっと見ていた私は、すっくと立ち上がると、
『……………ほっとけないよ、』
駅に向かって走り出した。
上手な言葉も、気の利いた言葉も、
私はなんにも持ってない。
でも、
大切な私の幼なじみが辛い時に、
ほっとける、わけがないじゃん。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時