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Diary10 親戚ってやけに面倒くさい人いるよね。 ページ11

「ふんふんふふふーん♪」

隣を歩く神崎から機嫌がいいのか鼻歌が聞こえてくる。顔を除きこめばニマニマと今まで見たことがない程に顔が緩んでいた。

その腕に抱えられた袋の中には俺と同じ祠堂結のサイン本と互いにセレクトしあったラノベ。サイン会は神崎がいたおかげか存在を無視されずに済んだ。神崎はストーリーが重厚かつ練られたものが好きなので俺が読んだ中でも面白いと思ったものを選んだ。

逆に神崎は自分がこのキャラが可愛いと思ったものを選んでくれた。なんでも「妹萌えとかは分かりませんけどこの作品のキャラは私の中で一二を争う可愛いキャラですから」だそうだ。

「黛さん、お昼ご飯どこにします?」

そう言って神崎がレストラン街の案内表示を指さす。そろそろ昼に差し掛かり飯にするには丁度いい時間だろう。

ハンバーグ、トンカツ、そば、うどん。写真付きの案内を隅から見ていく。神崎がどのくらい食べるのかも分からないし合わせた方が良いだろうか。

「神崎、どこがいいとかあるのか?」

「私ですか?うーん……オムライスですかね!」

そう言って神崎が指さしたのはオムライス専門店のものだった。じゃあそこでいいか。レストラン街は七階なので一つ階を上がらなければいけない。エスカレーターを探して歩き始めた時、ブブっとスマホのバイブの音に反応した神崎がポケットから取り出す。

「……げっ。黛さんすいません、電話でます」

画面を見て顔を顰めた神崎は渋々と言った感じで耳に当てた。

『もしもし。……無理。今出かけてるっての。はぁ?何言ってんのさ。あー、はいはい。帰ったら連れてきゃ良いんでしょ!じゃあ切るからね!』

ブチッと音を立ててもおかしくないほど憤懣やるかたないといった風に神崎は電話を切った。しかし驚いた。英語で早口に神崎は電話をしていたのだ。

「……あんのアホめ……。黛さん、すいません時間取らせて。行きましょ!」

「誰だったんだ、今の電話?というか神崎英語喋れたんだな」

「ああ……アメリカにいる親戚です。あいつめ……なんかこっち来てるから案内しろとか言い出して。まあ意思疎通そうじゃないと難しいですし。というか日本語で喋らせたら間違いなく周囲に悪影響与えるので」

まだイラついている神崎は苦々しく顔を顰めていた。ここまで神崎に不快感をあらわにさせる親戚とやらは余程面倒くさい存在らしい。

……とりあえず今は昼飯だな。

Diary11 幸せな時間はそう長くは続かない。→←Diary9 私ばかりドキドキさせられるのは不公平です。



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黛夕那(#・∀・#)(プロフ) - あの、初めの千尋saidで神崎葉月ってでたんですが… (2019年9月1日 12時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
ゲスでゲス - かぁいい作品をありがとうございました・・・ (2018年8月26日 9時) (レス) id: ed4900357a (このIDを非表示/違反報告)
カコ - すごく可愛かった。キュンとした。素敵な作品をありがとう。 (2018年7月22日 21時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
マリア - 続読めたいです (2017年9月26日 10時) (レス) id: 8569ec9184 (このIDを非表示/違反報告)
葉隠叶芽(プロフ) - 飛鳥さん» ありがとうございます!なるべく早く書き上げられるようにしますので楽しみに待っててください! (2017年7月7日 23時) (レス) id: 0edaa43e99 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉隠叶芽 | 作成日時:2017年3月23日 20時

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