手のひらの上でサンバを踊るな【2nd】

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「大丈夫よ宗くん。だいぶ意味深なかんじではあったけど、あの子が察しちゃうようなことは一言も言ってなかったわ」
「そうかね……？ありがとう、マドモアゼル」


安心したのか、少し表情が和らいだ宗は体を起き上がらせる。



「Aも厄介な立場にいるものだね。各事務所の上層部に利用されて、挙句の果てに……」


宗はポケットに忍ばせていた裁ち鋏でぬいぐるみの背中を切り裂く。
零れる綿を毟るようにして取ってやれば、そこに現れたのは黒い器械。それこそがこのぬいぐるみの見た目に釣り合わない重さの原因である。


「こんなものまで仕掛けられるとは……聞こえているかね？“君”が誰なのか知らないけれど」


器械───盗聴器のマイクと思われる部分を睨み、宗は顔もわからない、しかしESの人間であるのは確かである誰かに向かって言う。


「あれは変わり者だし不器用だしアイドルの趣味も下の下の下だけれどね」


盗聴器から手を放せばそれなりの質量を持つそれはガシャリと嫌な音を立てて床に叩きつけられ、崩れる。



「それでもあれに手を出すことは僕達が許さない」



ネジが飛び、マイクも外れた残骸がちゃんと機能を失っているか確認してから宗はそれをポケットに仕舞う。
盗聴器の捨て方なんてもの自分は知らないが、友人の零あたりなら知っているだろう。多分。




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◆お知らせ◆

あんずちゃんの苗字を設定可能にしました。
デフォルトは神代(かみしろ)です。好きに設定して遊んでみて下さい(*´˘`*)

1/8 紅鮭

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