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「星見ちゃん!!」


ヘッドホンのせいなのか何なのか、真の声は届いていないらしい。

すぐに追いついた晃牙もその状況の異常さに気がついたのか、口の中で何かブツブツ呟きながらルーズリーフに何か書こうとするAの肩を揺らす。



「星見!?意識あんのかこれ!?」
『…………うん……?あ、晃牙さん!こんにちは』
「今はこんばんはの時間だわこの野郎!」
『はぇっ?!』



ようやく我に返ったらしきAはスマホの時計を見て再び『えぇっ?!』と叫ぶ。
その様子に真はさらに氷を無理やり飲み込まされたみたいに腹の底が冷えていくのを感じた。



「時間が経っているのに気づかなかったってことは、ごはんは?それも、気がつかなかった?」
『あ〜私、今まで二日間ごはん抜きの日とかあったから。特に気にならなかったですね。それが普通みたいな?』
「それが普通じゃだめだよ!」


いつもと全然違う真の剣幕に、ううう、といつものように鳴き声(?)を上げながら立ち上がろうとして、それが出来ないことに気がつく。

当たり前だ。十時間もほとんど同じ体勢で手だけ動かしていたのだから。


「チッ、足が痺れたのかよ。ほら、腕。引き上げてやっから感謝しろよ」
『あっありがとうございます』


そうAはいつもの綺麗で楽しげな笑みではなく、親の姿を見つけた小さい子みたいに、心の底から安心したみたいにふにゃりと笑う。

それを見て晃牙は「これがこいつの素か」と推測しながらも、この光景に既視感を覚える。


「(あれ?こいつはどこかで……いや、こいつは、まさか!)」
『あの、晃牙さん?』


不安げな彼女の表情に気づいて、慌てて彼女を引き上げる。

その後、真がAにゼリー飲料を与えたりしていたが、晃牙はそれをまるでテレビドラマの中で起きる物事を観るみたいにぼんやりと眺めていた。




『いや本当に大丈夫ですってば!真さん達は明日も早いだろうし早く帰って寝てください!』
「女の子にひとりで夜道を歩かせるわけにはいかないから!大神くん、僕この子を送っていくから先輩達にそう言っておいて!」
「お、おう」


誰に似たのか知らないが、意外にも世話焼きな一面を見せた真とまだ不満そうにするAの姿が見えなくなるのを確認してから、晃牙はわざとらしく溜め息をついた。



「……おい、いるんだろ?!出てこいよ!」
「………」



ひとりの青年が柱の影から姿を現した。
それは先程晃牙にメッセージを送ったその人に違いなく。

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紅鮭@くじら(プロフ) - 甘風さん» 星見のキャラを気に入っていただけてすっごく嬉しいです〜!ありがとうございます(..›ᴗ‹..) 更新がんばります!! (2022年12月9日 16時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@くじら(プロフ) - みるタピさん» コメントありがとうございます!そろそろ更新速度戻す予定なのでこれからもよろしくお願いします!(⑉• •⑉) (2022年12月9日 16時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
甘風 - とっても面白くて好きです!更新頑張ってください!星見ちゃんのキャラが良い...! (2022年12月5日 23時) (レス) @page33 id: e3065dc72d (このIDを非表示/違反報告)
みるタピ(プロフ) - とても楽しんで読ませていただいています!テスト大変だと思いますが頑張ってください! (2022年12月5日 18時) (レス) @page33 id: c5e7b71543 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@くじら(プロフ) - 立花さん» 立花さん、コメントありがとうございます!!正直ギャグには全然自信がないのでそう言っていただけて嬉しいです!笑 更新がんばりますね〜!! (2022年9月30日 21時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅鮭 x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年8月28日 12時

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