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走る。
とにかく、走る。
角を折れたところで、階段。
ここは四階。
まだ、そう離れていないはずだ。
ホップ、ステップ、ジャンプのように、二段、三段、四段飛ばしで階段を飛び下りて__踊り場で着地。
衝撃が脚に来る。
体重分の衝撃だ。
こんな衝撃も__
だから、相川には、ないのだろう。
重さがない。
重みがない。
それは__足元が覚束ないということ。
蟹。
蟹と__彼は言った。
「こっちじゃなくて__こっちか」
まさか今から、横に折れたりはしないだろう。追いかけてくると思っているわけもない、素直に縦に、校門に向かっているはずだ。部活も、どうせ帰宅部に決まっている、仮に、何らかの何らかに属していたとしても、こんな時間から始まる活動なんて有り得ない。そう決めつけて、私は三階から二階へ、躊躇なく階段を降りる。
そして二階から一階への踊り場。
相川は、そこにいた。
どたばた音をさせながら、転がるように追いかけたのだ、既に察していたのだろう、こちらに背中を向けてはいるものの、既に振り返っている。
冷めた目で。
「……呆れた」
そう言う。
「いや、ここは素直に驚いたと言うべきだ。あれだけのことをされておいて、すぐに反抗精神を立ち上げることができたのなんて、覚えている限りではあなたが初めてだよ、阿良々木さん」
「初めてって……」
他でもやってたのかよ。
百日の説法とか言ってた癖に。
でも、確かに、考えてみれば、『体重が無い』なんて、触れられればそれですぐにバレてしまうような秘密を、完全に守り通すなんてこと、現実的には不可能だよな……。
そう言えば『今現在』って言ってた、こいつ。
本当に悪魔なのかもしれない。
「それに、口の中の痛みって、そう簡単に回復するようなものじゃないはずなのだけれど。普通、十分はその場から動けないのに」
経験者の台詞だった。
怖過ぎる。
「いいよ。分かった。分かりました、阿良々木さん。『やられたらやり返す』というその態度は僕の正義に反するものではありません。だから、その覚悟があるというのなら」
相川はそう言って。
両腕を、左右に、広げた。
「戦争を、しましょう」
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がむしろ(プロフ) - コメント失礼します!とても面白く、原作の化物語の通りに書かれていて、読んでいてとても楽しかったです! (2022年4月13日 23時) (レス) @page1 id: b2402acd1c (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - ヒマリンさん» ヒマリンさんコメントありがとうございます!わざわざこの作品を見つけてくださり、そう言ってもらえて恐悦至極です!これからも原作通りに進められるよう頑張ります!! (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリン - 本当に化物語の通りでした。 すごいです。 (2021年1月7日 10時) (レス) id: 88fe224ab8 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - うたねこさん» うたねこさん初めまして、感想ありがとうございます!どちらも好きな方がいらっしゃるとは…!? 緩やかですが楽しみにしていただけているのなら光栄です(*'∀`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねこ(プロフ) - はじめまして!物語シリーズもまふさんも好きなのでめっちゃ嬉しいです。お話もこれからすごく楽しみです! (2020年3月22日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月20日 4時