熱中症 9 ページ10
智Side
先「そうだったんですか。
では勤務されている病院はこことは少し離れているんですかね。
緊急時ですから、今回はわたしに診させてもらってもいいですか?」
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なぜ自分の病院につれていって診てやらないのか、
説明しなくても全部わかってくれているようだ。
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それにしても、“診させてもらってもいいですか?”なんて、
よけいな気を使わせちゃったかなぁ。
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智「よろしくお願いします。
ほらA、お胸もしもしだよ。
いつもとおんなじだからね。」
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和「お胸にペタペタってやるだけね〜
ほ〜ら、痛くないでしょ? いい子にできてるよ〜」
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聴診の邪魔にならないように耳元で小さく声をかけながら、
暴れないように優しくなだめていった。
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先「Aちゃん、お兄ちゃん優しいね。
いつも優しくしてくれるの?」
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さっと聴診を終えてくれた先生は、
聴診器を机の上に置くと、Aの手を取りながらニコッと微笑んだ。
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「・・・ｸﾞｽｯ・・・・うん・・」
先「じゃあ自慢のお兄ちゃんだ。
おじさんが風邪ひいちゃったときは、お兄ちゃんに診てもらおうかな。」
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あのAが病院の先生と普通に会話してる・・・
すごいなぁ・・・
やっぱりベテランの先生は違うよね。
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先「よ〜し、じゃあこれで最後だよ〜
大きくお口を開けて?」
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せっかく泣き止んでくれてたから、
また泣き出される前に終わりにさせようと、
すばやく頭を押さえ、顎を引いて口を開けさせた。
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先生も同じことを思ってくれていたようで、
口が開いた瞬間にサッと舌圧子をすべりこませ、
ものの数秒で終わらせてくれた。
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「んぁ・・ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ・・・うえぇ〜ん」
先「ごめんねぇ。もうやらないよ。」
智「よ〜し。よく頑張った。
上手にできたね。」
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僕がAをあやしている横で、
先生は看護師になにやら指示をだしていた。
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どうやら点滴をするようだ。
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大泣きだよねぇ・・・・
絶対暴れるよねぇ・・・・
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ここは小児の患者さんも多いみたいだし、
注射で泣かれることは慣れているだろうけど・・・
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ただ、Aは別格だから。
できるだけ泣かせないように頑張ってみるしかないか。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年9月28日 23時
