熱中症 8 ページ9
智Side
看「Aちゃ〜ん。嵐谷Aちゃん、こちらにどうぞ?」
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待つこと数十分、
診察室から出てきた看護師さんにようやく名前を呼ばれた。
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ナース服を着た見知らぬ女性に声をかけられただけで、
Aの体はもうガッチガチ。
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「ふっ・・ふぇ・・・ﾋｯ・・ﾋｯ・・・」
あっ・・呼吸が早くなってきた・・・
まずい・・・これは大泣きする前兆だ・・・
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智「はーい、よしよし。
だぁいじょうぶ。怖くない、怖くない。
ほら、ちゃんとおにぃにギュッってして〜?
僕と和にぃと一緒に行こうね〜
なんにも怖いことないからね〜」
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泣き出す前になんとかしてなだめようと、
背中をトントンして体を軽く揺らしながら診察室に入っていった。
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先「こんにちわ〜、Aちゃん。
今日はどうしましたか?」
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おっ、めちゃくちゃ優しそうな先生じゃん。
年は僕よりずっと上だけど、笑顔は完全に小児向けだ。
これならなんとかなるんじゃないかな。
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「ふぇぇ〜・・・やっ、やあぁ〜」
まあ、そんなに甘くはないですよね。
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僕らでも診察するのに苦労するんだから、
知らないお医者さんの前で泣かないなんて、そんなの無理な話だよ。
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先「熱中症っぽいってことでしたね〜
じゃあちょっと診てみましょうか。
Aちゃん、お胸もしもしするよ?」
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まったく僕から離れようとしないAを
和が優しく声をかけながら引きはがして、
先生に向かい合うように再び僕の膝の上に乗せた。
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先「はーい、ちょっと動かないでね〜」
「あっ!! いやぁ!! おにぃがいいーー!!」
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おにぃがいいって・・・・
いつも僕がもしもししても泣くじゃない。
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智「今日は先生にもしもししてもらうんだよ?
おにぃは抱っこしてるから。ね?」
「やぁだぁ〜・・・かずに〜(泣)」
和「今日は和にぃもしもしできないの。
ちゃんと先生が診てくれるから。
ほら、いい子に座ってて?」
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Aの泣く姿に苦笑いをしていた先生は、
僕らの会話を聞いて“あれ??”と言う顔をしていた。
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先「お兄さんは医師をなさっているんですか?」
智「あ・・・ええ・・・・一応内科医やってます。」
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別に隠そうとしていたわけじゃないけど、
バレたらバレたでちょっと恥ずかしいね(笑)
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革ベルト
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年9月28日 23時
