2▼拾う ページ3
「…………そこで何やってんの」
突然、後ろから声がした。
振り向いてみるとそこには
紫色のパーカーを着た男の人が。
こんな時間に何をしているんだろう。
もしかして不良なんじゃ…。
なんだか睨まれているような気がする。
殴られる?カツアゲされる?
怖い。
「…あ、えっと……ごめ…んなさい」
「何でそんなにビクビクしてんの」
いきなり近づいてきたかと思えば
私の隣にいる猫を触り出した。
すっごく扱いが上手くて、多分猫が好きなのかな。
にゃー。
猫と遊んでいる時の表情は
さっきの表情とは明らかに違う
とても優しい表情をしていた。
……案外優しい人なのかも。
「……で、こんなとこで何やってんの」
「えっと……捨てられた……?
って言ったら分かりやすいかな…」
男の人は、無気力そうな目を見開いて
猫を触っていた手を止めた。
……意味わからなかったかな
「へぇ……親に?」
「はい……」
「………まるで捨て猫だね」
そう。
私は今、捨て猫のようなものなんだ。
誰からも必要とされない、孤独な猫。
私に、居場所なんて無い。
拾ってくれる人さえいない。
なんて孤独なんだろう。
その時、男の人が言った言葉に私は驚いた。
「……俺の家、来る」
「…え?」
「だから
《拾ってあげる》って言ってんの」
《拾ってあげる》。
捨て猫だった私を、
居場所がなかった私を
拾ってくれる人が、いた。
「……え、泣く必要ないだろ……」
「うれ……しくって……グスッ」
男の人は、「ほら、立って」
って言って手を差し伸べてくれた。
……捨て猫は、もうおしまい。
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作者名:萌花 | 作成日時:2015年11月21日 1時