1▼捨て猫 ページ2
「ほら、早く荷物まとめて出ていきなさいよ」
分かってる。
私はこの家に必要無いことなんて。
お母さんは、この男の人しか必要無いんだ。
冷たい視線
冷たい言葉
冷たい態度
私はもう、必要とされていない
「この家のゴミ」。
いい時だけ利用されて必要なくなったら捨てられておしまい。
「さよなら」
そう残して、この家を去っていった。
***
荷物を抱え、ふらふらと夜の街を歩く。
家を追い出された私には居場所なんてない。
まるで「捨て猫」だ。
捨て猫は、飼い主が必要としている時だけ
その家に居ることが出来て、必要なくなったら
もう居場所はダンボール箱の中だけだ。
……ほんと、今の私にそっくり。
ふと、路地裏の前を通ると猫の鳴き声がした。
にゃー。
近寄ってみると、1匹の灰色の猫がいた。
体の大きさからして大人だろう。
顎を人差し指で撫でてやると、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
「……君は気楽でいいね
私は今日、捨てられちゃったよ、えへへ」
猫に話しかけたって意味なんてないのに。
言葉も通じないのに。
一人、猫に話しかけて馬鹿みたいだ。
なんだか、涙が溢れてきた。
捨て猫みたいな自分が悲しくなってきて。
「ぅ……グス……寂し……捨て猫に、な…ちゃった…」
私を気にかけた猫が
私の周りをぐるぐる回っている。
暫らくすると、隣に寄り添って座ってくれていた。
すると突然____
「…………そこで何やってんの」
後ろから声がした。
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作者名:萌花 | 作成日時:2015年11月21日 1時