番外編:その頃の不動行光は ページ6
近侍の仕事を抜け出した。
あの子の顔を、見ていたくなくて
不「……嬉しそう、だったな。」
表情がなんとなくふんわりと和らいでいた少女の姿の後藤藤四郎
その横で珍しく照れた様子のソハヤさんがいたが、彼女を大切にしたいという気持ちはかなり強く伝わっていた。
俺はというと、嬉しい報告のはずなのに悲しくなって悔しくて、暗い感情が一気に押し寄せてぐしゃぐしゃになって
借りていた歌仙の湯のみを割ってしまったこととか、お茶が服に掛かったこととか
そういうのが全て頭から吹き飛んでいく程の衝撃を受けて、幸せそうな2人の姿を見ていられなくなって
不(なんでこんなに、苦しいんだろう。)
宗「どうしたんですか?そんな顔して。」
不「……そんなにひどい顔してる?俺。」
宗「えぇ、かなり。」
辛気臭いですよ、なんていいながら、ポツンと座っていた俺の横に、宗三が何も言わずにそっと座った。
こういう時、何も言わずに傍にいてくれる宗三にはかなり助けられている。
俺が結局何も打ち明けずにふて寝したりしても、文句も言わずにその膝を貸してくれたりもしてくれたっけ。
不「宗三は、あの子のこと……どう思ってんだ?」
宗「あの子?……ああ、後藤藤四郎のことですか。僕には関係ありませんよ。兄様や来派が甘やかしてるみたいですが。」
不「…そっか。」
宗「彼女がどうかしたんですか?」
不「あの子を見てると……ここが苦しくなるんだ。熱があるわけじゃないのに、体が熱くなったり、ドキドキしてこう……。」
宗「おや。」
くすくすと笑い出す宗三に、なんだよと言いたげに視線をよこした。
彼はきれいな顔で一頻り笑ってから、俺を見てにっこりと微笑んだ
宗「あなたも、恋をするんですね。」
不「……え。」
恋……?
俺が、あの子に……?
……………。
不「〜〜〜〜っ、!!!??////」
宗「おや、その様子だと今気付いたみたいですね?」
不「いや、けどあの子、……恋人、が、」
宗「いいじゃないですか。相手に恋人がいても。あの子の幸せを祈るのもまた恋ですよ。」
不「……幸せを、祈る、恋……。」
そんなこと、ダメ刀の俺に出来るだろうか
あの子に好きだとも告げず
ただ黙って、その行く末を見守って
そして、祈るなんて、そんなこと
宗「ところで、その湯のみは?」
不「あ。」
とりあえず
歌仙さん、ほんとごめん
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MAI(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってください (2018年3月20日 3時) (レス) id: f659814c99 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年3月1日 14時) (レス) id: 6a75da4a5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:No@h | 作成日時:2018年3月1日 14時