眠り姫と知らない声 ページ3
ポタ、ポチャン
水滴が落ちる音がする。
暗闇に響くその音を頼りにふわふわと浮遊した感覚で動いていく。
少しずつ進んでいく。
夜目が効くはずなのだが、暗くてよく見えない。
慎重に進んでいけば、少し先に松明の灯りが見えてきた。
そちらへと浮遊して、そこになにか大きな箱があるのがわかった。
『………鎖。』
雁字搦めに縛られた鎖に触れた。
じゃら、と小さく音が鳴ったかと思えば、突如大きな音を立てて粉々に砕けた。
驚いて離れようとして、痛みで動けなくなる。
だめだ。はやく、これから離れなきゃ。
『っ、!』
必死に逃げようとして、立てなくなってしまって座り込んでしまう。
その間にも、箱はゆっくりと開き、そこから黒いﾅﾆｶが溢れ出す。
それを見つめることしかできなくて、でも怖くて目を逸らす。
黒いﾅﾆｶはあたしを囲み、身動きが取れないように纏わりついてきた。
『や……!』
必死に振り払おうにも、次から次へとやってくる。
だめ、お願いやめて、と何度請うても止まらない。
ふと、箱の方に人影が映し出された。
体格的に男性だろうか。
ぼんやりとしてわからないが、確かにこちらに近付いて、あたしに手を伸ばしてきている。
その手は、黒いﾅﾆｶと同じ、蠢き淀む、闇色の手。
「やっと会えた。愛しの姫君。」
『ぇ……。』
「あなたは、誰にも渡さない。」
"彼"はあたしに手を伸ばし
そして――――
*
鳴「後藤、起きて。」
『っ、!?』
お供「ああ、よかった!お気分は如何ですか?後藤殿!!」
『……叔父様……お供ちゃん……。』
鳴「大丈夫?……後藤、うなされてた。」
お供「それに泣き叫んでおりましたよ!嫌だ離して、と。」
心配そうにあたしの顔を覗き込むお供ちゃんと、あたしの頭をそっと撫でる叔父様。
心臓がばくばくと音を立てる。
緊張からではなく、恐怖で。
『……叔父様、あたし……。』
鳴「大丈夫。無理しないで。」
優しい手つきであたしの頭を撫でる叔父様にそっと甘える。
こうやって甘えさせてくれるこの人の細い手が好きだ。
お供ちゃんや虎くんが懐くのも納得。
こんなに気持ちいいんだもの。
でも、１つ思い出したことがある。
あの声の主。一度だけ、前に聞いたことがある。
前の大将の元に来た客人の１人。
子どもの姿の太刀を引き連れた
１人の男性の声だった。
.
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MAI(プロフ) - 面白かったです！更新頑張ってください (2018年3月20日 3時) (
レス) id: f659814c99 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年3月1日 14時) (レス) id: 6a75da4a5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：No@h | 作成日時：2018年3月1日 14時
