朧気な記憶の向こう。 ページ27
目を開けば、そこはエイリア学園。
目の前には腕を組んで仁王立ちをしたバーン。
壁に寄りかかってこちらを伺うガゼル。
「やっと帰ってきたようだね」
「たく、何年行方不明になれば気が済むんだお前は」
ガゼルとバーンの言葉に、歓迎されいてるのか、否かよくわからない。
ちらりとグランを見詰めれば目を細めて笑う。笑ってるつもりなんだろうけど、やっぱり目が笑ってないので怖い。
「ただいま戻りました、バーン様、ガゼル様」
膝を着いて深く頭を下げれば、望んでいた反応とは違ったとでも言うように浴びせられる暴言。
「ふざけんじゃねえよ！！」
「っつ、」
雷門のジャージの胸倉を掴んだバーンがブチ切れる。
「お前はプロミネンスのAだろうが！！なんで軽々しく頭下げてんだ！」
「ひとまず手を離して、バーン。それだとAが苦しくて何も話せない」
「っせえな…俺はお前がこいつを連れに行ったのも気に入らねえんだ」
「いっつ…」
壁に向かって放り投げられ、尻もちを付けば呆れた様子のガゼルと目が合った。
「敗北者で逃亡者の君にはお似合いだ」
吐き捨てるようなガゼルはそのまま廊下を歩き出して、私には目もくれずに去っていく。
言い合いをするグランとバーンに、私は、どこに居たらいいのか、もうわからなくて。
「だって、居場所なんて……何処にもないのに、何処へ帰ればいいの……」
「A……、甘たこと抜かしてんな」
バーンの足が頬を掠め、壁にスパイクが刺さる。
頬を伝う血が、まるで枯れきった涙の代わりのように落ちる。
「てめえの居場所は、無様に負けたあの日から何処にもねえんだ。欲しければもう一度その足で、その体で存在を示せよ」
「それは……プロミネンスでもう一度、走れって言うの？」
それをバーンは許すの？
大きな舌打ちが聞こえた。
「おいグラン。こいつ、思い出したから帰ってきたんじゃねえのか」
「それは本人しかわからないよ。何処まで思い出しているか、はね」
立ち去るバーンを見送った後、目の前に腰を下ろしたグランが頬の血をハンカチで拭ってくれた。
「……チームに戻るには記憶が必要だよA。君はプロミネンスに戻りたいの？辛いならガイアにおいでよ」
「記憶……。私はまだ何を思い出していないの？｣
グランの手を握れば、悲しそうに眉を下げたグランはユニフォームに身を包めば優しく笑った。
「むしろ、君は何を思い出したのか教えてよ」
「バーン様に罵られてること」
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
