○報われてくれるな、私の片思い__4 ページ4
「ちょ〜〜っと勘弁してくれませんかね逆先サン」
「今更そんな呼び方しないでヨ。気持ち悪いかラ」
「それはただの悪口では?」
教室から私を連れ出すなり空き教室に放り込み、挙げ句の果てには壁に押しつけ完全包囲しやがった夏目。
私を見つめるその琥珀の真意は分からないが、私だけ全てを見抜かれているような気がして癪に障る。今すぐにでも足技をかけて逃げ出したいが、悲しいことに恋慕はときに己を縛る枷となる。
それと今めちゃくちゃ近い。今までのかなりバグった悪友ならではの距離感なんて可愛いもんだった。友達だから、肩を組んでも顔を寄せて話してもちっとも不思議じゃない、とその些細なバグに甘えていることもあった。けれど今は言い逃れできないくらいに近い。心臓のおとが直接伝わってしまいそうだ。
「あァ、思い出したヨ。そういえば昨晩のこれってなんだったのかナ?」
「ざけんなクソ逆先、最初からそれが目的だったくせに」
「名前で呼んでくれないノ?」
「……それ以上言ったらマジブッ飛ばすからな」
夏目が見せてきたのは昨夜のLINE。その目も当てられない大惨事を私に見せびらかしておきながら、彼の視線は涼やかだった。
「誰に送るつもりだったのかは気になるけド、それより驚いたヨ。君ってボクとのLINEだと素っ気無いのニ、別の誰かが相手だとこんなに可愛いんだネ?」
「うるさい可愛い言うなばかぶっ殺すぞばか」
「目、逸らさないでくれル?ちゃんとボクを見テ」
顔を背けることすら許されないこの空間で、妙に甘ったるい空気だけが私たちを支配している。
本当になんなんだ、この空間。甘ったるすぎて厭になる。それに雲行きもかなり怪しい。私は夏目と付き合う気なんて毛頭ないし、ただ一方的に想いを寄せるだけでいいのに。
「ちゃんト、ボクに教えてヨ。Aがボクをどう思ってるのカ」
縋るみたいな諭すみたいな、あまい声色。それはある意味決定打となってしまった。
「━━わ、私はっ!!逆先のこと異性としては……っ、その、めちゃくちゃ意識してるけど!!あんたと付き合う気とかさらっさら無いから!!」
教室に充満していた甘い空気は、私の大声で全部どっかへ吹っ飛んでった。
「……何ソレ、意味わかんないんだけド?」
どういうわけか今世紀最大に不機嫌になっている夏目と、どう足掻いても修羅場になりかねないような超絶気まずい雰囲気をのこして。
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月華 - 好きです。失礼しました (2020年9月19日 17時) (レス) id: 561e3188bf (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - 瀬名さん» ありがとうございます!!!!!これからも精進していきますね!!!!! (2020年9月10日 20時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名 - 好きです! (2020年9月7日 23時) (レス) id: 86245055db (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - sakuyah1226さん» わーー!!!!ありがとうございます!!!自己管理も更新もがんばります!!!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - るるさん» ありがとうございます!!、!これからも更新頑張ります!!!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅ヶ巳 | 作成日時:2020年8月28日 21時