●絶対排他的ラブコメ領域__1 ページ5
「アドちゃん助けて〜〜〜〜〜ッッッ!!!世界で57億番目くらいに死にたい」
「なるほど、おまえはこの星の約11億人よりも生きるのをやめたくなってしまったんだな。おまえが死ぬのはとても耐えられない、どうか俺に相談してみてくれないか」
「全肯定アドちゃん眩しすぎてもはやぴえん」
「鼻炎か?なら栄養のあるものを食べるといい。今度一緒に肉を食べに行こう」
「ねえホッケ〜、あそこの会話1ミリも噛み合ってないんだけど」
「見るな明星、Aは目に毒だ。精神衛生上とても悪い」
「聞こえてっからな明星氷鷹ァ!!」
それはいつもと変わらない、しかし騒々しいいつもの光景。2年A組の昼休み中の光景だ。
ただ、彼女の隣にボクが居ない。いつもはあっちの方からすっ飛んでくるくせに、今日は大人しく自分の席で他の男子と駄弁ったりなんかして。
眺めているのも嫌になって、ついスマホに手が伸びる。メッセージアプリを開けば、そこに昨日Aとしたやりとりが残っていた。
別に、彼女のことが好きとかそういうわけではない。ただ揶揄ってやろうと思っただけ。ボクだって最初はタチの悪い悪戯かと思ったけど、メッセージの荒ぶり様と今朝の言動を考察するあたりそうでもないらしい。
けど何より分からないのは、さっきのAの言葉。異性としては見ているが付き合う気などない、と彼女は云った。そのとき胸に染み出した後味の悪い正体不明の感情も含め、全く以って不可解だ。
こんな少女漫画みたいな展開、今の少女向け雑誌でもなかなか見ないだろう。でもボクだって彼女と恋愛する気は無い。彼女と恋人になった時の光景が想像もつかないからだ。
かつての友達が恋人になったとき、得られるものの代わりに何か死んでしまうものがあるとするなら。ボクはそんな恋なんて要らない。Aという大切な友達を失くすのは惜しい。
その点では、彼女がああ言ってくれて助かった。これからも友達でいられるんだから。
━━待った。じゃあ、なんでボクは未だ彼女の隣に行けずにいるんだ?
「……逆先くん、Aちゃんと喧嘩でもしたの?」
「別ニ?ボクはどうもしてないヨ」
一人残されているボクを案じてか、声をかけてきたのは遊木くんだった。だったらいいんだけど、と彼は少し言葉を詰まらせている。
「さっき、Aちゃんのこと見てる時すごく怖い顔だったから……」
……それは、割とあっけなく。
ボクの心に嵐を巻き起こし、勝手に過ぎ去っていくのだった。
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月華 - 好きです。失礼しました (2020年9月19日 17時) (レス) id: 561e3188bf (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - 瀬名さん» ありがとうございます!!!!!これからも精進していきますね!!!!! (2020年9月10日 20時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名 - 好きです! (2020年9月7日 23時) (レス) id: 86245055db (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - sakuyah1226さん» わーー!!!!ありがとうございます!!!自己管理も更新もがんばります!!!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - るるさん» ありがとうございます!!、!これからも更新頑張ります!!!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅ヶ巳 | 作成日時:2020年8月28日 21時