○青春などと云う勿れ__3 ページ11
「『おつきあい』しちゃえばいいじゃないですか〜」
「バカバカバカ先輩声でかいっすやめてください」
翌日、夢ノ咲学院敷地内某所にて。━━といっても、この人がいる時点で私の居場所はバレバレだろう。
実は私が恋愛相談をしているのはアドちゃんだけではない。夏目の保護者さん方、もとい五奇人の皆さんにも惚気て……というか、脅された。夏目に変なことしてないか吐けって脅されたのが始まりである。
五奇人は基本的に性格に難ありだが、奏汰先輩や渉先輩はわりと私に優しかった。しかし斎宮先輩は顔を合わせるたびにめちゃくちゃ嫌味を言ってくるし、朔間先輩は顔が怖い。出会った当時はガチヤンキーっぽい見た目だったので若干トラウマになっている。
「……こういうこと聞くのもアレなんすけど、最近夏目私のこと話してました?」
「はい〜。『あつかい』にたえかねる、っていってました〜」
「うわ斎宮先輩にバレたら私死ぬじゃん」
斎宮先輩の嫌味はまるで嫁を前にした姑のようで、私は花嫁修行でもしてんのかなともはや諦観している。でもごく稀に優しい時があるし、ある時は私のライブ衣装までこしらえてくれた、私を嫌ってんだか気にかけてんだかよくわからない人だ。
「しゅうはそんなに『こわく』ないですよ〜?」とぷかぷかしながら奏汰先輩が言う。いやいや、あの人怖いですよ奏汰先輩。……なんて、口にしたら本人が来そうだから言わないけど。
「Aとなっちゃん、とっても『なかよし』ですし……『こくはく』したら『おつきあい』できそうなきもしますけどね〜?」
「それは別にいいんすよ、私は今のままが一番やりやすいんで」
「そうなんですか?」
奏汰先輩は数秒考え込む素振りをして、それから何か呟いたような気がするけど、あいにく私にはうまく聞き取れなかった。
「奏汰先輩、今なんか言いました?」
「いえ。きょうは『みず』がつめたくてきもちいいな〜っておもってました」
「いいな〜、今日クソ暑いですし私も水浴びしていいっすか!?正直今すぐ飛び込みたいです!!」
「うふふ、いっしょに『みずあび』ですか〜?いいですよ〜……♪」
両腕を広げて迎え入れようとしてくれる奏汰先輩はやっぱり天使なのだろうか。私はその包容力に引き寄せられるがままに噴水に飛び込もうとした、のだが。
「ほら、なっちゃんもどうぞ〜♪」
━━この状況下で、言えることは限られてるけど。そういうことはマジで早く言ってください、奏汰先輩。
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月華 - 好きです。失礼しました (2020年9月19日 17時) (レス) id: 561e3188bf (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - 瀬名さん» ありがとうございます!!!!!これからも精進していきますね!!!!! (2020年9月10日 20時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名 - 好きです! (2020年9月7日 23時) (レス) id: 86245055db (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - sakuyah1226さん» わーー!!!!ありがとうございます!!!自己管理も更新もがんばります!!!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - るるさん» ありがとうございます!!、!これからも更新頑張ります!!!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅ヶ巳 | 作成日時:2020年8月28日 21時