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銀さんside
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〜〜...
どこか遠くで話し声が聞こえた気がして目を覚ます
隣の布団には誰もいない
代わりに襖から光が漏れている
なんとなく、
その隣に並ぶ
面白いのか面白くないのかわからないそのテレビを
ぼーっと見るAの真似をしてみる
なんかあったんだろうな
なんとなくわかる
わかることに嬉しくなる
それだけこいつを見てきたってことだ
それだけ一緒にいるってことだ
頬が緩まないように力を入れる
(トンッ、、
急に重たくなる片側
『寝てる、のか?』
聞こえる寝息に力が抜ける
『見てねえじゃん、テレビ』
触れた部分が優しくて温かくなる
無意識に手が伸びてそいつの頭を撫でる
いろいろあったからな
異世界から飛ばされてここまだ頑張ってきた
自分のこと弱いとか言ってたけど
こいつは強い
だから、心配になる
ほっておけない
『俺はちゃんと守れてっかな
兄貴に、なれてんのかな』
答えのない問いを呟く
すんっと鼻に柑橘の香りが広がる
懐かしささえ感じるその香りに思わず目を閉じる
久しぶりに、あったかい夢を見た気がする
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銀「寝てる、のか?」
聞こえた声にばれませんように
と心で祈る
そっと触れた手に驚いてドキッとするけど耐える
そしたら、
私の呼吸に合わせてその手が優しく動くから
また、鼻がツンとして
泣きそうになって
きつく目を閉じる
そのあまりに優しい手が嬉しくて悲しくて
でもやっぱり嬉しくて
安心した私は
そのまま夢の中に入った
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作者名:おぐら | 作成日時:2019年10月11日 3時