4/焼けるような ページ4
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「取引成立だ。さあ、これを飲み干すんだよ。知らないかもしれないが、しばらくは歩くと棘に刺されたように足が痛む」
「人間になるには…？」
「君の妹と同じさ。その彼と想いを通わせ幸せになることさ」
頷いて、杯を受け取り一気に呷る。すると、尾びれの鱗が剥がれていき人間の足が出来上がっていくうちに息が苦しいことに気付く、冥冥はそれに気付くと私に手を向ける。
「楽しむといい、あ、そうだった自分の素性は言えないようにしてあるよ」
ふ、と笑うとどっと水圧に圧されて、水上へとAの身体は驚くべき速さで流れていく。Aは着いてきた魚達は戻れるのかしら、と心配になりながら、人間になれることへの高揚感を感じていた。浜辺に身体が流れ着く、娘は上半身を起こしてゆっくりと地に足を付ける。
「う、すごくいたい……」
娘はあまりの痛さに顔を歪めて膝を付いた。こんな所で諦められない、と地を這いなんとか浜辺を出たが、そこで彼女は力尽きてしまった。意識が途切れ途切れになってきたところで、鼻腔を嗅いだことの無い臭いがする。
「アンタなんで裸なの？」
倒れている彼女の前に立ち塞がったのは煙草をふかしている物憂げな表情の女性で涙ボクロ特徴的だった。ひとまずこの人に助けて貰わなければ、と彼女は口を開く。
「人を…探しているのっう、」
「あ、落ちた」
意識を失ってしまったAを放って置けるはずもなく、自分が来ていた上着を彼女に羽織らせて身体を抱えると碧の国の城へと向かっていった。彼女は碧の国に仕える医官だったのだ。
◈
「はぁっ…、ここはどこなんだろう…あの人は」
城の医務室で目を覚ました彼女は、ゆっくりと身体を起こして辺りを見渡すと窓辺に誰かが座っている影が見えた。しかし、カーテンに遮られてその姿を彼女は視認出来なかった。そのとき、ぶわあ、と少し強い風が吹きばさ、とカーテンはふわりと浮き上がり窓辺に座っていた人が見えた。
「あ、っ」
それは彼女が恋をした皇子だった。しかし、彼は起きた娘に気付くことはなく、またふわりとカーテンに隠されてしまった。早鐘を打つ心臓を手で抑えながら、こんなに早く会えたことに嬉しくベッドから足を下ろして立ち上がろうとして転んでしまった。
「うっ…まだいたむわ…」
転んだ物音に気付いた彼が窓辺から下りて、こつんこつんとブーツの音を響かせながら彼女に近付き、手を差し出した。
「大丈夫かい？美しいお嬢さん」
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続く (更新停止中)
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作者名：愛之助
| 作成日時：2021年4月24日 22時
