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「月送りか……。美味しい物あるかな?」
「パイモンはいつも食べ物かお宝のことだよね。」
何も言い返せない様子のパイモン。
それをクスクスと笑う柊朔。
「あ!月と言えば月姫が思いついたんだが。もしかして、月送りってその月姫の命日なんじゃないか?」
「もしかして、それが裏で行われてる……?」
「月姫の話しは私も一回だけ講談で聞いたことがあります。感動的でしたよね。今頃、岩王帝君は月姫と一緒にいるんですかね……。」
柊朔は雲一つない空を見上げた。
そう、璃月では岩王帝君は死んだとされているが。
実際は死んだけど、まだ生きており。
往生堂の客卿として働いてるなんて、二人は言えなかった。
岩王帝君は未だ、月姫とは会えていないのだ。
「今日は泊まって行きますか。お二人の部屋も私が用意しますね。」
「え。本当にいいの…? 」
「はい。お二人は、私に出来た…初めての友達ですから。あ、いえ。友達と思ってるのは私だけだったりしてー……あはは。」
旅人とパイモンは嬉しそうに顔を合わせた。
「勿論!柊朔とオイラ達は友達だ!」
(あぁ、良かった。死ぬ前に友達が出来て。)
外は完全に夜一色に。
星々は月と共に輝き、この世界を照らしていた。
(夜の景色も見たかったのよね。)
柊朔は一人、最上階へと来ていた。
彼女の目に飛び込んで来たのは、幻想的な景色だった。
自分まで飲み込まれそうな綺麗な景色。
彼女は空に浮かぶ月を見た。
(満月までもうすぐか……。)
月送りは満月の日に行われる。その日まで、彼女は耐えられるのか。
○●○
「……本当に綺麗だなぁ。」
人は確かにいずれ死ぬ。
私はそれが早かっただけで。別に悲しむことじゃない。
運命には逆らえない。
神様だったら、運命なんて捻じ曲げちゃうのかな……。
「っ……!」
私に物凄い頭痛が走った。
____月が綺麗ね。
____お願い、彼には内緒にして……。
____帰って…!!貴方に会いたくないの……
____ごめんね、お願いばっかりで。けど…これで最後……
私を____
____グレモリー……
「はぁ…はぁ……。」
誰なの……?この声は誰?
私に、何を伝えたいの?
私が荒い息をする中、強い気配を感じた。
誰……?
○●○
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作者名:ふく | 作成日時:2022年8月10日 23時