【黒子】赤司家の妹がグレました。

No.29 もうひとりの、兄。 ページ39

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あの人にとって、“もうひとりの人格”が居るのは当たり前だった。



今回は、表に出てきただけであって。








「…ただ、やっかいなんだよね」

「なんか言った？A、」

「ん？なんでもない」







原因。わかりきったことだった。




あいつは、産まれてすぐに赤司家の長男と期待を背負い



その期待はやがてプレッシャーに変わり、あいつを常に蝕んでいた。



耐えて耐えて耐えて、耐えまくって、






どうしてこんなに自分だけが辛いのか、どうして自分はこれくらいのことをこなせないのか、



逃げ場がなくなった時にだけ、もう1人の兄が現れる。









なぜ、私にそんなことが解るのか？

双子だから、という理由も嘘ではない。たまたま性別が異なって産まれただけで、私はあいつで、あいつは私なのだから。









まあ、あるとするならば









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「(私にも、いるから。)」









もうひとりの、自分が。



心休まる闇が、


逃げ場が









でも、あの暗闇から逃げ出すのはなかなか時間がかかる。









今回の兄は、どこまで逃げるだろう。




もうひとりの兄は、どこまで粘るだろうか？









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