十二話 園田村 ページ14
行く所は園田村と言うらしい。タソガレドキとオオマガトキの戦が激しさを増していて、
オオマガトキ領の園田村からの任務で戦闘体制に入るらしい。
場を変えれば、情報の出入りも変わる。
薬売りにでも化けて戦さ場に行けば情報が大量に入ってくる。
「私は此処で、ありがとうございます」
「うん。また会おうね」
月明かりの中、神社の前で少年達と別れた。
園田村……そういえば印欲しさにオオマガトキに大量の税を無駄に払っているらしいな。
馬鹿だ。所詮廃れた村の爺がやる事、関係ない。
園田村へ先回りし、旅人の姿になる。
真夜中、村は誰もいなかった。家々を確認したが、あの乙名しかいない。
「こんばんは。旅の者です。一晩ばかり止めていただけますか？」
家の戸を叩いて返事を待つ。カラッと音を立てて開いた。
「明日沢山の客が来るのだが、それでもいいなら」
「勿論です、ありがとうございます。金は此処に」
部屋の中へと入れられ、温かい囲炉裏を前に座った。茶を出される。
「タソガレドキが最近荒っぽくてなあ。旅の人は大丈夫ですか？」
「戦さ場を避けているので。此処は大丈夫なのですか？」
「明日は忍術学園から応援がくるから大丈夫だよ」
「なるほど……それは、心強いですね」
茶を飲む。味覚はとうに狂っているから、全く味がしない。温度と匂いだけ。何故か毒にだけ味の感覚がする。
夜が深くなると、ひとり走る足音が聞こえた。
「誰でしょうか?」
歩幅は狭い。子供だ。
外に老人と共に出ると、やはり少年が走ってくる。
乙名に事を伝えると、眠ってしまった。
服装は忍術学園の物。事の内容はタソガレドキが攻めて来ること、忍術学園が守ることと粗方知っていた。
朝方、どわっと人間がやって来る。
明るい最中、静かに縁側に座っていた。乙名は少年を寝かしつけ、その後眠った。
「あれ、あなた、何処かでお会いしましたか?」
目の包帯はそのままだ、感づかれるのも時間の問題。
「ええ。昨夜道案内してもらいましたよ」
「偶然ですね、これからどうするんですか？」
「タソガレドキが攻めて来るので、無闇に動けません。暫くは此処で休んでいます」
「へえ。あ、僕は久々知兵助です。よろしくお願いします」
黒髪の少年。毒を盛った奴だ。以前の団子屋とは違う私だから、気づいていない。
「私は…名乗る程の者じゃありません」
「じゃあなんて呼べばいい?」
風が強く吹いた。
目の前を通り過ぎる花弁。
不思議と手の中にあった。
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あまね(プロフ) - すきー！ (12月10日 11時) (
レス) @page34 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ルシア(プロフ) - 久しぶりの更新お疲れ様様です！！ (9月19日 21時) (レス) @page32 id: 75dd258af5 (このIDを非表示/違反報告)
みょーが - 主人公が毒にだけ味覚が働いたり、興奮で身体能力が上がったりするところ、とてもしっかり作り込まれているのを感じます！銀鬼さんの小説は場面展開がわかりやすくて物語の世界に没頭できます。これからも更新楽しみにしておりますね。 (2023年4月10日 22時) (レス) @page25 id: c021c07d07 (このIDを非表示/違反報告)
おろししょうが - 刺殺と視察掛けてるの天才 (2023年4月10日 19時) (レス) id: 1e91c7e46b (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - 作品、読ませていただきました。時間の流れ方だとか誰がどんな動きをしているのかだとか、それぞれが繊細に伝わってきてしっかり理解することが出来て、本当に凄いと思います！キャラをおさらいしてまた来ます！続編楽しみにしています！ (2022年1月5日 20時) (レス) @page14 id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀鬼 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ginki/
作成日時：2020年9月21日 15時
