第120声 ページ24
はっ、はっ
今日だけで一生分走ってる気がする。
タケさん達にある頼み事をして私は今一人で目的地であるビルに向かっている。
ちーちゃんに確認を取れば、店長や篠原さん達がビルの屋上に場所を変えた所だった。
間に合うか？
― 間に合わせる。その為に今、走ってるんだから！
什造の足はいいの？
― 嫌だけど、私は全能じゃない！
ケンは大丈夫かな？
― 信じるって決めた。約束したんだ、一緒に生きるって！！
貴女が一人で間に合っても、彼女に勝てるの？
― 勝てるかどうかなんて興味ない！！大事な人達が守れるなら何でもいい！！
どうしてそこまでするの？
― この先の未来を守ると心に誓った！それに私が一緒にいたいという我儘だ！！
カンッカンッカンッ
屋上までの階段を駆け上がりながら、頭の中に響く自問自答で体を叱咤していた。
半分まで上がった所で足が縺れて危うく落ちそうになったが、
突如として下から聞こえてきた歓声に無意識に手摺りを掴んでいた。
主『はぁっはぁ、けほっ…てんちょう、しのはらさん、じゅうぞう』
数秒で息を整えて私はまた階段を駆け上がる。
こんな所で止まる訳にはいかない。
あと2階分という所で頭上で大きな振動と音が聞こえてきた事で何が起こったのか分かった。
次の瞬間に屋上から落ちてくる黒磐特等の姿が見えた事でそれは確定する。
主『はぁっ、1分、だけ…宇井さんなら1分は時間を稼げる』
ズクンッ
眼が熱い、内側から炎で焼かれてる感じがする。
私が隠れている壁の反対側には法寺さんが横たわっているのが見える。
そのもっと先には篠原さんがいる。
カタカタと震えるのは雨で体が冷えた所為か恐怖か…感覚が麻痺してる。
階段を駆け上がった事で暑い筈の体は凄く寒かった。
主『…これが終わったら、ケンに抱きしめて貰おう』
何よりもきっと暖かいから…
ドォォォンッ
私は宇井さんの体が飛ばされた瞬間に踏み込んだ。
この先の未来を生きる為に、
大切な人達との時間を途切れさせない為に、
そしてただの＊＊＊の為に…
続
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒狐の信乃(プロフ) - 早く更新しないかなと楽しみにしえおられます。何回も読んでます。更新頑張って下さい！ (2018年10月7日 17時) (
レス) id: 643fb61272 (このIDを非表示/違反報告)
sayakafujino30(プロフ) - とても面白かったです!これからも頑張ってください。応援しています。更新待ってます！！！ (2017年7月8日 23時) (レス) id: 2eaecf79b9 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽 - とても面白いです！更新楽しみにしているので、頑張ってください！！！ (2016年8月3日 17時) (レス) id: 749928d283 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - とても面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2016年6月14日 0時) (レス) id: f74a91c541 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - とても面白いです！！更新頑張ってください！！ (2016年6月12日 22時) (レス) id: f74a91c541 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：銀月 | 作成日時：2016年5月2日 17時
