No.016 水遊び ページ16
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両手にAを抱えたまま少し歩いて、森のさらに奥の方まで来たら、小さな穴から湧き水が出て、綺麗な泉を作り出している場所についた
静かで落ち着いた、俺たちには似合わない場所だ
「ここ？」
「ああ。いいだろ？」
「すごい、綺麗」
「な？靴脱がしてやるから座れよ」
「うん」
そばの石に座らせたAの白い足からそっと靴を脱がし、膝上まである靴下を脱がして、そのまま左足の義足を外してやると、俺の服をぎゅっと掴んだまま、ミニスカートから伸びる足でそっと透明な水に触れた
「んー、冷たい」
「気持ちいか？」
「うん」
「外出てよかっただろ」
「まあね」
「俺も靴脱ご」
バラが見張りをしてくれているから、俺も特にまわりを警戒することなく、靴をうしろに脱ぎ散らかして裾をくるくるとあげると、泉に足をつけた
澄んだ水は太陽をきらきらと反射しているのに冷たくて気持ちが良い
「ねぇ、サブ」
「あ？」
「いま誰かに襲われたら私終わるよね」
「お前を置いてなんか行かねえから大丈夫だ」
義足のままでも歩くことで精一杯のAが、義足を外しているときの恐怖は計り知れない
きっと後退りすることが限界で、誰かの助けがなければ移動どころか身を守ることもできないのだろう
だが、そんなことは心配しなくていい
わざわざゲンスルーに言われなくとも、俺たちだってAとガキの頃から一緒に育ってきて、なによりも大切に思っているのだから、敵に襲われてAを置いていくなんてあり得ないことなのだ
たとえ義足がちゃんとついているときであっても、Aを守ることは最優先事項なのである
それほど、Aの足が失われる原因になったときに誰もAを守れなかったことは、俺たち3人全員の心に深い後悔として残っているのだ
まあ、その事件以前から、もうすでに俺たちは過保護と言われても反論できないくらいに、Aのことを最優先に生きていたのだが
「バラも見張ってくれてるからな」
「バラも一緒に入ればいいのに」
「見張りがいねえのはやっぱまずいだろ」
「そっかあ」
Aは俺に寄りかかって、片足で水をぱしゃぱしゃと跳ねさせて遊んでいる
「ねえ、この水ってここから湧いてるよね」
「そうだな。だからこんなに透き通ってんだろ」
「綺麗だなあ」
「手入れるか？支えとくぞ」
俺の言葉に、Aは少し言いづらそうに口籠る
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
