No.015 気分転換しよう ページ15
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ゲンスルーがいないくらいなんとかなるだろうとタカを括っていたが、結構大変だった
まず、Aの調子が大抵良くない
ずっと寝床として用意したところに寝転んで、ぼんやりと空を見上げている
本をあまり読まなくなってから、Aはゲンスルーのそばで寝ていることが多くなっていたから、変わらないと言えば変わらないが、ゲンスルーが近くにいないことは相当精神的にしんどいみたいだ
そして、何かを決めるときはゲンスルーがいつもいちばんいい選択肢を見つけてくれたから、多数決もままならない
Aはもともとゲンスルーの意見に全面的に賛成だったから自分の意志とかは無いし、俺とバラの意見はあまり交わらない上にどちらのほうがいいかを公平に判断してくれる人もいないからだ
さらに呪文カードのこともよくわからないままで、とにかくゲームの中で生活していくだけでも大変だった
ゲンスルーが訪ねてくるまでの間、ひとりで出来そうなカードをバラと交代で取ってきたり、危なくなさそうなのを選んでAも一緒に取ったり、それなりにゲームは楽しんでいた
しかし、やはりAはゲンスルーに会えないことで精神的に安定しない日が多く、俺たちは困り果てていた
「なー、A？起きたんだろ？」
「なに」
「外行くか？」
「ゲンは？」
「ゲンはいねえよ」
カードを買いに行くのにも、ただ散歩がてら情報を集めに行くのでも、ゲンスルーが一緒ではないことなんてわかりきっているのに、Aはいちいちそれを聞いて落ち込むのだ
いまも寝床としている大きな樹の根本でゲンスルーのジャケットに身を包み、自身をぎゅっと抱きしめたまま、俺から目をそらしてまた寝ようとしている
「なら行かない」
「え〜、外の空気吸おうぜ」
「空気吸ってるよ」
「太陽に当たったほうがいい。な？連れてってやる」
「え、」
フードを深くかぶって丸まっているAを無理やり抱き上げたら、慌てて首に抱きついてきた
「ちょっと、サブ！？」
「水浴びでもしようぜ」
「水浴び！？」
「綺麗な泉を見つけたって、バラが呼んでんだ」
「泉？」
「ああ。気分転換するぞ」
な？と笑いかければ、Aは少しだけ乗り気になったようで、それ以上暴れようとはせず、俺の頬に何度か軽くキスをしてきた
だっこされて運ばれているのも、それほど嫌なわけではなかったらしい
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
