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漆拾捌話「どうして」 ページ34

夢主side

バチインッ

ある晴れた日の昼下がり、乾いた音が辺りに響き渡った。
乾いている筈なのに、何処か湿った様に聞こえるのは何故だろうか。
そんな事を、無理やり移動した視線で綺麗な虫の標本を見つめながら何処か遠くで思っていた。

『………え?』

辛うじて絞り出せたのは、拙い疑問の声。
それさえも、彼女の怒鳴り声に飲み込まれて。

し「貴方は、最低です……っ!何故、私の姉を侮辱したんですか……!!!」

私を叩いた姿勢のまま、顔をギュッと顰めプルプルと震えるしのぶちゃん。
少し遅れて、頬にジーンとした痛みが走った。

目の前には、昔と同じように眉を吊り上げた強気な彼女。
だけど、此方を飲み込もうと言わんばかりの激しい怒りに包まれている。

憎悪と嫌悪、軽蔑…後これは……嫉妬(どうして貴方ばっかり)だ。

…嫉妬を受けた事は山ほどある。
こんな身体のせいで、何度陰口を叩かれたか分からない。
それらのほとんどは、グツグツと煮込んだ沼の様なベトベトした物。

だけど、しのぶちゃんのそれは……そう、例えるならまるで舌にピリッとくる香辛料の様な…。
痛い程真っ直ぐで、それでいて辛口だ。
今までこんな嫉妬の感情は感じた事が無い。

──底冷えする身体から目を逸らす様に、震える口で聞き返した。

『あ、の…私、何を…………』

し「…何を?ハッ、貴方は相変わらず自分の罪を認めようとはしないんですね、滑稽です。
……萌香さんから聞きましたよ、彼女の腕を刺した挙句私の姉を侮辱したそうですね。
…貴方には失望しましたよ、まさかそこまで腐っていたとは」

『───』

寒い、とても寒い。
氷柱が全身に突き刺さっている。
──嗚呼、心に罅が入りそうだ。

パキリ、パキリと音を立てそうだ。

肌の感覚が無くなりそうな程身体が冷えているのに、心臓の部分だけは熱い程鼓動を繰り返していた。
辛うじて隊服のスカートをキュッと握る手は、じっとりと汗ばんでいた。

頭痛が、止まらない。

彼女が何か言いたげに此方を見る度、鼓動が早くなる。
彼女が軽くため息をつく度、何かが磨り減っていく。

パキ、ペキ。

し「……この前助けてくれた事は、感謝します。
それでも、私は貴方が許せない。
二度と私の目の前に姿を表さないで下さい」

バキンッ

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きーねちゃん(プロフ) - みかんといちごさん» テンキュー!はいごみ収集車にぶちこむぜ☆オルァ! (2020年8月8日 0時) (レス) id: a598922371 (このIDを非表示/違反報告)
みかんといちご - きーねちゃんさん» はーい!ニクマン\(^-^ )ブンッ (2020年8月8日 0時) (レス) id: 085b083a26 (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - kiki11241さん» なる……予定です!(おい)すいません頑張ります! (2020年8月5日 20時) (レス) id: d6c0176894 (このIDを非表示/違反報告)
kiki11241(プロフ) - あれ本当に杏寿郎オチかな? (2020年8月5日 19時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
きーねちゃん(プロフ) - みかんといちごさん» へいパース!僕今ならゴムの手袋を五万枚重ねてるんで大丈夫でーす! (2020年8月4日 22時) (レス) id: a598922371 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハルサ | 作成日時:2020年7月9日 18時

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