番外編6:存在の大きさ ページ32
当然先輩は｢断絶｣で防ぐ。それでも私は矢を放ち続ける。
｢何度やっても同じやって…｣
遂には私を｢断絶｣に閉じ込めた。これでは私に跳ね返って来てしまう。仕方なく弓矢を下ろした。
手袋をした手で透明な壁をなぞり、私を見た。
｢どうせこれを実行したら僕は監獄行き。後悔はないんよ｣
止めたところで犯罪者にはなってしまうから意味は無い、と先輩は少し悲しさを醸し出してまた元の顔に戻った。
扉が開く。誰かと後ろを見ると入間くんだった。それから先輩は入間くんに過去の事を話し、終わった頃に入間くんが絶望しているのかと緊張しながら彼の顔を伺っていたが、｢絶望なんてしても意味ないじゃないですか｣とニッコリ言った。…本当に彼は凄い。
入間くんは花火の玉を持ち、
｢パンドルーラ！！！！｣
｢断絶｣の外へ投げ出した。大きな光の花が咲く。
｢っ…はぁ…君には適わんわ、入間くん｣
割られた事で先輩も魔力を使い果たしたのか私を囲んでいた｢断絶｣も消えた。
それと同時に私は座り込んだ先輩の前に立って見下ろした。
｢…恨んでくれてもええよ、あんなこともしたし｣
手を振り上げ、頬を叩いた。
｢…恨んだりなんか、しません…っ、先輩の馬鹿…｣
片方の手を力強く握った。
数分後、教師陣がこの部屋を見つけ、先輩は逮捕された。私は先輩が出ていく直前まで着いていき、引き留めた。
｢…絶対戻ってきてくださいね｣
そう言うと一瞬驚いた顔をした先輩はそのあと笑顔で返してくれた。
あの花火が影響したのだろうか、校舎内は歓声に包まれていた。特に入間くん。魔具研のメンバーを紹介して最後に先輩の名前を言った。
入間くん達の元へ行き、4人で今までにないほど喜んだ。でも私の心は大きな穴が空いたようで泣き崩れてしまった。
｢うっ…｣
｢Aさん！？｣
｢Aちだいじょぶ？たこ焼き食べる？｣
｢たこ焼きはいらんだろ…どうしたんですか？｣
3人とも心配してくれているけれど、穴が埋まるわけでもなかった。
｢…っはぁ｣
私の中で先輩はとてつもなく大きい存在だったのだと改めて感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アイリ - 続き楽しみにしてます！ (2020年2月25日 18時) (
レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - あ、ありがとうございます！面白かったです！ (2020年2月25日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
沫梨(プロフ) - アイリさん» コメありがとうございます！結婚式ですね！了解です！ (2020年2月24日 20時) (レス) id: 175b7a0ad4 (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - 夏祭り面白かったです！リクエストよろしいでしょうか？結婚式よろしくお願いします！これからも頑張ってください！ (2020年2月24日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
沫梨(プロフ) - スイカバーガチ勢野坂さん» 遅れてしまい申し訳ありません！夏祭り了解しました！！コメありがとうございます！ (2020年2月20日 21時) (レス) id: 175b7a0ad4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沫梨 | 作成日時：2020年1月5日 10時
