今の俺にできること ページ45
〜狩屋side〜
剣城『神童先輩と浜野先輩が、ウワサの調査に協力してくれるらしい』
朝、剣城くんは俺にそう言った。
そしてその日のうちに、霧野先輩と倉間先輩が昨日から家に帰っていないと問題になった。
俺はガランとした放課後の教室の中で一人席に座ったまま、一連の出来事を思い出していた。
____“ウワサ”。
稲妻町に急速に広まっている奇妙な現象。
あり得るはずのない噂話が町の至る所で現実のものとなり、行方不明者まで出てしまっている。
こんなことは、何年も魔法少年をやっていて初めてだ。
“ウワサ”が広がり出したのは確か、ホーリーロードで雷門が戦っている真っ最中のことだった気がする。
その頃からすでに、稲妻町では異変が起き始めていたんだ。そして今、より深刻なものになりつつある。
それに、星宮A……あいつには違和感を覚えた。
なんというか、初対面なのに初対面じゃない感じ。
おかしな話かもしれないけど、初めて会った時点で“見憶えがある”と思った。
けれどあの時は、間違いなく初対面だった。俺がどうかしていたのだろうか。
それとも____?
狩屋「……まあ、そんなことはどうでもいい」
わからないことを考えても仕方ないと立ち上がり、指輪をソウルジェムに変える。
ソウルジェムは魔力の源であり変身に必要なのと同時に、魔人の探知にも役立つ。
緑色の輝きが強まった。魔人が近くにいる証拠。
狩屋「俺は、俺の住む世界を守る。それだけだ」
戦いの宿命を背負ってまでかなえたいと強く思った、たったひとつの俺の願い事。
それがかなった今、もう絶対に失いたくない。
そのために戦う。願い事を守るためなら、ずっと命懸けだって構わない。
魔法少年として化け物を延々と狩り続けなければならないとしても、俺は絶対に後悔なんてしない。するものか。
ウワサの正体が魔人だろうが魔人でない別のなにかだろうが、そんなのは関係ない。
みんなを脅かす敵であれば倒す。それだけ。
『キラキラ様』の件は剣城くんが調べると言っていたので、彼と先輩たちに任せよう。
俺は引き続き魔人を倒すと同時に、他にも稲妻町を蝕んでいる“ウワサ”を探しに行く。
それが今の俺にできることだろう。
そうして探し続ければ、もしかしたら……
天馬くんの手掛かりに辿り着くことだって、できるかもしれないから。
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サリア | 作成日時:2020年2月6日 21時