キュゥべえの異変 ページ29
〜貴方side〜
__土曜日の夜。
私がキュゥべえの後をついてやって来たのは、稲妻町と舟ヶ丘市の町境だった。
キュゥべえ「相談があるんだ。
実は、僕自身に異変が起きている。稲妻町に入ることができなくなってしまった」
貴方「稲妻町に入れない? ……本当なの? それ」
キュゥべえ「入れないというか____
稲妻町の中では、意識を保つことができないんだ」
そう言って、キュゥべえは稲妻町の方角へ歩き始める。
その途端キュゥべえの瞳から光が失われて、まるで糸が切れた人形のようにぱったりと倒れてしまう。
慌ててキュゥべえを抱えて舟ヶ丘市の方へ戻ると、キュゥべえはすぐにまた喋り始めた。
キュゥべえ「言った通りだろう?」
貴方「なるほどね。で、私にその話をしたのって……」
キュゥべえ「うん。君にその原因を調べてほしいんだ」
貴方「えー。なんで私なの? 魔法少女は他にもたくさんいるでしょ?」
私には他に調べたいことがたくさんあるのになぁ。
けれど、稲妻町……そう、また稲妻町が絡んでいる。
稲妻町での一連の“噂”と、何らかの繋がりがある可能性もあるわけか。
キュゥべえ「これは、優秀な魔法少女にしか頼めないんだ。
稲妻町の魔人は、他の地域の魔人よりも強いからね。それにベテラン魔法少女や魔法少年も多い」
貴方「待って、私そこまで優秀じゃないと思うけど!?」
キュゥべえ「いつも魔人を楽々倒しているじゃないか。真子と組まない時だって一人で」
確かに舟ヶ丘市の魔人なら問題なく倒せる。
だけど今日。稲妻町の魔人相手にまったく歯が立たなくて、神童くんと浜野くんに助けてもらえなかったらと思うと。
そうなれば今頃は、私も霧野くんも……。
キュゥべえ「それに、また新しい“噂”が流れ始めている。
誰かが稲妻町に魔人を集めて、グリーフシードの独占を企んでいるという噂が」
貴方「え、そうなの? 知らなかった。
うーん。舟ヶ丘市の魔人も減っているし、もしそれが事実なら放っておけないけど……」
新しい噂か。
稲妻町の魔人が強く、多い理由と関係があるのだろうか。
もしそうだとしたら、私たちの知らないところで何かが動いているような気がしてならない。
貴方「わかったよ。
今起きている異変が魔人によるものなのか、それとも魔法少年か魔法少女によるものなのか……調べてみるね」
私はそう言って、キュゥべえと別れた。
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作者名:サリア | 作成日時:2020年2月6日 21時