キュゥべえのいない町 ページ28
〜浜野side〜
貴方「キュゥべえが、いない……」
Aが深刻そうな表情を浮かべる。
俺も、キュゥべえがいなくなったと気づいた時は驚いた。
＿＿＿＿俺と神童が、一緒に記憶を取り戻そうと誓ったあの日。
俺たちはキュゥべえにも、協力してほしいと頼んだ。何かわかったことがあったら教えてほしいと。
ところがその翌日から、キュゥべえは稲妻町に姿を見せなくなってしまった。
浜野「いなきゃいないで別にいいんだけど、奇妙な話だよね」
貴方「別にいいって……グリーフシードの回収は？
穢れを吸収したまま放っておくと、また魔人が生まれちゃうんだよね？」
神童「キュゥべえがいなくなった日を境に、ソウルジェムの穢れを吸収したグリーフシードは勝手に消滅するようになったんだ。
どういう仕組みでグリーフシードが消えて、どこへ行ってしまうのかはわからない」
浜野「まー、こればかりは考えてもしょうがないっしょ。回収係がいなくなった以上、消えて無くなる方が助かるし。
舟ヶ丘市はいつも通りキュゥべえがいるんだよね？ Aは何か聞いてたりする？」
そう、稲妻町にキュゥべえがいないなら、その地域外の情報は俺たちにとって重要だ。
消えた願い事に関する記憶の件から話が逸れるけど、この際聞いておきたい。
貴方「私はね……つい昨日、キュゥべえから聞いたの。
キュゥべえは、稲妻町の異変に気づいている。そして、私に調査を依頼してきた」
神童「キュゥべえが調査を依頼？ Aに？」
神童が訝しむ。Aは頷いて、昨日舟ヶ丘市に戻ってからの出来事について話し始めた。
貴方「私はあの後舟ヶ丘市に戻って、魔人退治をしてた。
終わってから、もう疲れたし家に帰ろうとして……その時キュゥべえに呼び止められたの。
ちょっと、相談したいことがあるって＿＿＿＿」
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作者名：サリア | 作成日時：2020年2月6日 21時
