芥川龍之介 無花果パフェ【月華様Req.】 ページ9
「やー、この前は大変だったんだね、ほら、遠慮せずお食べ?」
Aの前には餡蜜パフェ。
芥川銀の前には無花果パフェ。
先日、探偵社の者から告白をされたらしい銀ちゃん。
此方を見、おずおずとスプーンを入れ、無花果を口に入れた彼女はふわりと笑った。
「そっか、良かった」
何か色々と狼狽してたみたいだけど、大丈夫そうだ。
「無花果好きなの?」
聞いてみると、兄が好きだから、という理由らしい。へえ何でだろうと思った。
その時、彼女は携帯を取った。急な任務が入ったらしい、申し訳なさそうに、立ち上がる。
「………」
「いいよいいよ、また今度一緒に食べよ」
「はい……」
そうして、彼女は足早に駆けて行った。んー、せっかくお休みが重なったのにな。
「にしても、龍之介君は無花果の何が好きなんだろ」
独り言だった筈なのに。
「知りたいか」
真後ろから血も凍る様な返しがあった。
「どどうして此処にに?」
つい震えてしまったAの声を流しながら、元々銀が座っていた席に着く芥川龍之介。黒眼鏡の奥から、えも言われない視線を感じる。
「銀から緊急との事だったが…無駄足だった様」
こほこほと咳をしている。
帰らないのかよ。
そして目の前のパフェを睨んでいたので。
「……良かったら、食べてね?」
「……」
「あら。じゃあ私食べちゃお」
爽やかなフレッシュタイプと、濃厚なコンポートの無花果が交互に並んで花になっている。
甘い香りが素敵。
スプーンを伸ばし、大振りな無花果を一つ頬張ると。
「わ、美味しい!」
無花果、意外と糖度高いな!
甘さ控え目の生クリームと相性が良く、とろっと瑞々しい。
シンプルで美味しい、そんな好印象。
「ね、龍之介君も食べなよ、好きなんでしょ?」
「……」
「うう……パフェ二つ、その分動けばいいよね……うん。じゃあ残りも食べ」
また無花果をすくい、食べようとすると、
その腕をガッと掴まれたかと思えば、グイッと引き寄せられ、彼の口の中へ吸い込まれていった。
「……」
「…………」
「美味しい?」
無言で頷く芥川。
時間の無駄の筈、なのに。
「無花果、本当に好きなのね。帰らないんだ」
「……理由は其れに非ず」
じゃあなんなんだよと。
Aは笑みを零した。
それ以上言葉は紡がれなかったが、
その日は、
とても特別に感じたAであった。
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午(プロフ) - 体の90%がラムネさん» 体の90%がラムネ様、ご感想ありがとうございます!また三期でお待ちしております、宜しくお願い致します!更新頑張ってください! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 闇川幽鬼さん» 闇川幽鬼様、単品で織田作登場です!ありがとうございます! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
体の90%がラムネ - 初コメです!めっちゃ良きでした!!突然ですが、リクエストしたいですが…。ダメでしたね。すいません!また募集している時にいきます!更新待ってます!(自分も更新しろよと思う今日この頃) (2019年12月21日 13時) (レス) id: 8dd45af6f4 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 作之助様登場!!(*゚∀゚*)嬉しいです!(*^_^*) (2019年12月21日 0時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 月瀬さん» 月瀬様、リクエストありがとうございます!只今からのリクエストは無効とします。ゆっくりで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します! (2019年12月15日 11時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年8月25日 17時