芥川龍之介&中原中也 鮟鱇鍋【月華様Req.】 ページ14
「おぉ!」
Aは歓声を上げた。
それは余興、吊るされた鮟鱇が捌かれていく。
腸・歯・骨以外は食べられる、宝袋。
水を大量に飲まされ、吊るされていて。
「あ。あの拷問したことあるや」
「何つーこと云うンだよ」
中原が溜息をつく眼前で、鮟鱇は皮を剥がされ、腹を切られ、中身を出された。
肝臓、皮、水袋、卵巣、エラ、ヒレ、身――
七つ道具と呼ばれる美味所。
“Aさん……僕も同じく、敵を八つ裂きに出来ます ”
と、柱の影からAを見つめ、芥川は心の中で語り掛けた。
“そして貴方に認められる為ならば、鮟鱇の生け捕りから調理に至るまで完遂します ”
そんな彼の圧と想いは露知れず、Aは瞳を輝かせた。
「はぁ、丸ごと頂こう!紅葉おろしたっぷりで」
「痛風になっても知らねェぞ」
そして鍋が目の前に、
もう直ぐ、煮える時。
「あァー……A……」
打って変わって、中原は酔っぱらいになっていた。
めっちゃ絡んでくる。首に擦り寄ってきて。
「龍之介君、お水ある?」
「はい。ここに」
芥川に貰った水を渡そうとするが、駄目そうだ。未だ鍋を食べていないのに。
「ひゃ、セクハラですよー中也さん」
「……手前は……の……」
何を云っても聞こえないのか、腰に抱き着いて来た。
幹部の威厳とやらは何処へやら。誰だ、めっちゃ呑ませたのは。
「あの、鍋が煮えました」
「わぁーい。とってとって」
膝の上で子どもの様に眠る中原の頭を撫でながら、Aは芥川におねだり。
「肝、多めがいいな」
この季節、お鍋は温まるね。首領もたまには、良い宴を開いてくれる。
それにしても龍之介君、お玉似合わないな。
「どうぞ」
山盛りのお椀。独特の香りとコクの、あん肝が溶けて濁ったスープ。どぶ汁と云われる所以。
臭みも無く、兎に角美味。
身はホコホコと崩れ、コラーゲンの溶ける出汁を吸った豆腐や葱も至高の味!
あん肝はとろとろ蕩けて、紅葉おろしがピリッと美味い。
「酔ってねェー……」
「中也さん、食べ辛いんですけど。困ったねぇ」
困った様に、芥川に微笑んだ。
「御椀持ちます」
「何で」
まぁ確かに、幹部の顔に熱々のスープなんてかけたら人生終わるだろうしな。
「うん。頼んだ、龍之介君」
「はい、Aさん」
中原中也の世話をして、
芥川龍之介に世話されて、
その夜は明けた。
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午(プロフ) - 体の90%がラムネさん» 体の90%がラムネ様、ご感想ありがとうございます!また三期でお待ちしております、宜しくお願い致します!更新頑張ってください! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 闇川幽鬼さん» 闇川幽鬼様、単品で織田作登場です!ありがとうございます! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
体の90%がラムネ - 初コメです!めっちゃ良きでした!!突然ですが、リクエストしたいですが…。ダメでしたね。すいません!また募集している時にいきます!更新待ってます!(自分も更新しろよと思う今日この頃) (2019年12月21日 13時) (レス) id: 8dd45af6f4 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 作之助様登場!!(*゚∀゚*)嬉しいです!(*^_^*) (2019年12月21日 0時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 月瀬さん» 月瀬様、リクエストありがとうございます!只今からのリクエストは無効とします。ゆっくりで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します! (2019年12月15日 11時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年8月25日 17時