恋とか花とか気持ちとか。 23 ページ28
「俺、そういう人の立場になって考えんの苦手だからさー」と続ける。
そう続けたときには、一松はそわそわとして落ち着かないようだった。いきなり褒められてどうしたらいいのかわからないのだろう。
「そ、そこまで言うなら一緒に考えてやってもいいよ」
どもってるなー、とおそ松は面白く思う。
高校のときの同級生に会って相談を受けた、という話は、全部おそ松がでっち上げた作り話だ。実際は、高校のときの同級生に会ってもいないし、誰にも相談を受けてはいない。にもかかわらず、おそ松が一松にこんな作り話をでっち上げたのは、自分があることを聞きたかったからだ。
そのあることとは。
「でさー、そいつの相談ってのがちょっと特殊なんだけどさー、あいつの名誉のために引かないでほしいんだけど」
そう前置きし、一松が緊張した面持ちでそれでも頷くのを見届けて話を続ける。
「人目のある場所じゃ話せないって言うからさー、ファミレスの人気の少ない場所で話聞いたんだよ。したらさ飲み物がきて、店員も来ないし話せるぞってときになっても何も言わねえんだよ。まあ心の準備は必要だろうと思って、こっちからは話しかけなかったんだけどさー」
すらすらと口から言葉が出てくる。これで信じなかったらそれこそ嘘だ、と思うほどおそ松の話は信憑性があるように聞こえる。
(我ながらこっえー)
笑いながらそんなことを思っているのを噯にも出さず話した。ついに本題に入る。
「やっと口開いたと思ったら、あいつ、「俺、弟がいるんだけどさ。そいつに恋、しちゃったみたいなんだ。……おそ松、俺どうしたらいい……？」って言って泣き出しちゃって。とりあえずその日はそいつも言いたかっただけみたいだし、泣き止ませて、話聞いて終わったんだけど。また会うって約束しちゃってさ。次に会うときまでに答え考えとかないといけないんだ！ 頼む一松、一緒に考えてくれ！」
同級生という架空の人物の声真似までして、一松に聞きたかったのは、同級生のおそ松にしたという相談事そのものだった。いや、そのもの、と言うよりは、この話を聞いた一松の反応、答えが知りたかったからだ。
一松に引いた様子は、おそ松に事前に言われていたからかなかった。一松のその様子にひとまずほっとしたおそ松は、一松の答えに耳を傾けた。一松が口を開く。
「えっと、おれはそういうのよくわかんないけどさ、やっぱり、諦めるのが最善じゃないかな。周りが理解してくれるとも限らないし」
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
