恋とか花とか気持ちとか。 22 ページ27
すべて思い返し終わると、今となっては、薔薇の他に、花菱草、ディアスシア、などの五種類の花が挿さっている花瓶を思い出し、感慨深い笑みを浮かべた。
花の数が少ないのは、おそ松の努力の結果だ。肉体的な接触を控えたことで、ここまで吐いた花の数を減らすことができたのである。ただ、それでも、想いの抑制はうまくいかないときもあり、それで六つだ。
(頑張ったなー、俺)
吐いた花は生殖能力が高いのか、一ヶ月経った今でも枯れることがない。家族には不思議がられた。特に自分の母親には。
「よく持つわねー、その花。にしても、あんたがね……、小学生のときの朝顔の観察日記の課題ではすぐに枯らしてたのに」
なんて言われ、笑うしかなかった自分をよく覚えている。
花に関することを思い浮かべていると、いきなりテレビのチャンネルが変わった。某、動物をドキュメンタリーする番組の再放送に切り替わる。ろくに見ていなかったが、変えたのは誰だろう、と後ろを振り返る。
そこには、一松がいた。画面を熱心に観ている。じっと見ていると、ちらとこっちに顔を向けて言い放った。
「……何。言っとくけど、リモコンは渡さないからね」
「いや、別にいいけどさ」
「ならいいけど」と言って、一松はまたテレビに視線を戻した。おそ松もテレビに視線を向ける。
テレビの中では、子供に親しみやすいようなオーバーオールを着た今では還暦を超えた男と、お揃いらしく、同じようなオーバーオールを着たチンパンジーが遊んでいる様子が映っている。
一松の様子を見るが、それほど熱心に見ている様子はない。
(猫目当てだな。もしくは猫科)
そう当たりを付ける。十中八九合っているだろう。
「……なあ、一松。ちょっと聞きたいことあんだけどさ」
やはりそこまでテレビには熱中していなかったらしく、顔をこちらに向けてくる。顔を見ると隠そうとしているが、困惑しているのがよくわかった。
「……何、おそ松兄さんがおれに聞きたいこと？」
そんなのあるの、と自虐しているのがわかったが、それを無視して言う。
「そう。前さー、高校のときの同級生に会ったんだけど、相談受けちゃってさー。俺一人じゃ考えるのむずいからお前にも一緒に考えてほしいんだよ」
「……おそ松兄さんがわかんないのにおれがわかるわけないじゃん……。ていうか、何でおれに聞くの……」
「だってさー、一松結構人のこと見てるだろ？ だからあいつの立場になって考えることできるかなって」
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
